2019年12月20日、マレーシアの首都クアラルンプールにて開催された国際会議の場において、マハティール首相がインドの政治情勢に対して強い懸念を表明しました。批判の矛先となったのは、モディ政権が推し進める「改正国籍法」という、特定の宗教的背景を持つ人々に向けた新しい法律です。
この法律は、パキスタンやバングラデシュといったインドの周辺国から逃れてきた非イスラム教徒の不法移民に対し、優先的にインド国籍を与えるという内容になっています。つまり、イスラム教徒だけがこの救済措置から明確に除外されているため、宗教による差別ではないかという議論が世界中で巻き起こっているのです。
マハティール首相は、インドにおいて70年以上もの長い間、多様な宗教を持つ人々が市民として平和に隣り合わせで暮らしてきた事実に光を当てました。「これまで何の問題もなく共生してきた歴史があるにもかかわらず、なぜ今になってこのような法律が必要なのか」と、その正当性を真っ向から疑問視しています。
人口の多くをイスラム教徒が占めるマレーシアのリーダーとして、同胞が不当な扱いを受けることへの危機感は相当なものでしょう。SNS上でもこの発言は大きな注目を集めており、「人権を守る毅然とした態度だ」と支持する声がある一方で、他国の内政干渉にあたるとする複雑な反応も見受けられます。
編集者としての私見を述べれば、国家のアイデンティティを特定の宗教に紐付ける動きは、多文化共生という現代の理想から逆行しているように感じてなりません。マハティール氏の指摘通り、長い年月をかけて築かれた社会の調和を、政治的な境界線で壊してしまうことはあまりに惜しい決断ではないでしょうか。
一国のリーダーが国際会議という公の場で、他国の政策に対してこれほど直接的な言葉を投げかけるのは異例の事態です。この発言は単なる政治的批判に留まらず、民主主義の本質や「国民とは何か」という根源的な問いを、私たちに突きつけていると言えるでしょう。
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