日本が誇るお米のトップブランド、新潟県産コシヒカリが今、大きな転換期を迎えています。2020年1月7日に新潟市内で開催された年頭会見において、JA新潟中央会の今井長司会長は、これまでにない危機感とともに新たな決意を表明しました。実は前年となる2019年産米は、夏の猛暑などの異常気象が影響して品質が著しく悪化してしまったのです。SNS上でも「今年のお米は少し心配」「大好きな新潟のコシヒカリをこれからも応援したい」といった、消費者の不安と期待が入り混じった声が数多く寄せられています。
具体的な数字を見ると、その深刻さが浮き彫りになります。2019年11月末時点における新潟県産コシヒカリの「1等米比率」は、わずか26.8%という厳しい結果になりました。1等米比率とは、検査で最も優秀だと認められた最高品質のお米が占める割合のことで、農家さんの努力やブランド価値を証明する大切な指標です。この数値は、過去最低を記録した2010年10月31日時点の20.3%に次ぐ低水準であり、ブランドの地位を揺るがしかねない事態として関係者に衝撃を与えています。
こうした苦境を打破するため、今井会長は「先端技術を活用した新たな栽培に踏み出す年にしたい」と力強く宣言しました。具体的には、AI(人工知能)による最適な収穫時期の予測や、過去の気象・生育状況を記録した「ビッグデータ」の活用に本腰を入れる方針です。ビッグデータとは、人間では処理しきれないほど膨大で多様な情報の集まりを指します。これを最新のIT技術で分析すれば、異常気象にも負けない強靭な米作りが可能になるでしょう。伝統の技に最先端の科学が融合する試みに、胸が熱くなります。
一方で、お米を取り巻く市場環境にも課題が山積しています。現在、主食用米の作付け面積は2年連続で増加傾向にありますが、これがコメの供給過剰と価格暴落を招くのではないかと懸念されているのです。農林水産省のデータによると、2019年産米の販売価格は60キログラムあたり1万5727円と、2014年以降は上昇が続いています。しかし今井会長は、この状況を「西日本の不作による一時的な需給の引き締まりに過ぎない」と冷静に分析しており、現状に甘んじることなく危機感を募らせています。
日本国内におけるコメの需要は、人口減少や食の多様化を背景に、年間約10万トンものペースで減少しているのが冷徹な現実です。そのため、作れば作るほど売れ残ってしまうリスクを抱えています。今井会長は、県やJAなどで構成される農業再生協議会が提示する生産量の目安を厳守し、需要に応じた賢い生産を行うよう強く呼びかけました。時代に合わせた柔軟な生産調整こそが、農家さんの生活と地域の農業を守るための防衛策と言えます。
ただ美味しいお米を作るだけでなく、データを駆使して経営と品質を安定させる「スマート農業」への転換は、これからの日本農業において避けて通れない道です。今回のJA新潟中央会の迅速な決断は、全国の米どころにとっても大きな希望の光になるのではないでしょうか。SNS世代の若い消費者からも、テクノロジーを導入した新しい農業の姿に対して「若い農家が増えるきっかけになってほしい」とポジティブな反響が広がっています。持続可能な農業への挑戦を、私たちも応援していきたいものです。
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