独自の技術力で半導体業界に確固たる地位を築いてきたロームが、次なる大いなる挑戦へと舵を切っています。長年にわたり企業を牽引してきた創業者の佐藤研一郎氏が逝去し、同社は今、まさに重大な転換期を迎えました。かつてパナソニックをはじめとする国内の家電巨頭から特注で請け負う「カスタムIC(特定顧客向けに専用開発された集積回路)」を武器に、圧倒的な高収益を誇った輝かしい歴史を持っています。
しかし、国内家電メーカーの衰退に伴い、従来のビジネスモデルだけでは通用しない時代が到来しました。そこで2018年6月に就任した藤原忠信社長が掲げたのが、大胆な「脱・家電」シフトです。藤原社長自らが中国の電気自動車(EV)メーカーや部品企業へ足を運び、トップ外交を展開しています。狙うのは、次世代自動車の心臓部にあたる「パワー半導体」や「アナログ半導体」の市場です。
ここでいうパワー半導体とは、大電力を制御・変換するエネルギー効率の要となる電子部品を指します。SNS上では「EV普及の鍵を握る日本の強みがここにある」「ロームの技術力なら世界で戦えるはず」といった期待の声が数多く寄せられており、注目度は急上昇しています。厳しい車載基準をクリアする原動力となっているのが、創業者が徹底してこだわり続けた「品質第一」という熱い精神です。
かつて2001年3月期には、連結営業利益1377億円、売上高営業利益率34%という驚異的な過去最高益を記録した実績があります。あの頃の輝きを取り戻すべく、同社は2021年3月期までに自動車や産業機器向けの売上比率を全体の5割以上に引き上げる計画を推進中です。現在の課題は、藤原社長も指摘する通り、まだ低い水準にとどまっている利益率の改善にあります。
私は、このロームの挑戦こそが日本製造業の「逆襲のモデルケース」になると確信しています。単なるコスト勝負ではなく、受け継がれた高品質への執念を武器に高付加価値なEV市場で利益を最大化できるかどうかが運命の分かれ道でしょう。創業者の魂を胸に、再び高収益企業へと返り咲くロームの未来から目が離せません。
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