2020年2月6日、IT業界に大きな衝撃が走りました。ディー・エヌ・エー(DeNA)が、2020年3月期の連結決算において、2005年の上場以来初めてとなる赤字を見込んだのです。これまでゲームとスポーツという強固な収益の柱で成長を続けてきた同社ですが、長年の懸念であった「ゲーム一本足打法」からの脱却に、いま大きな壁が立ちはだかっています。
今回の赤字転落の背景には、主力事業であるゲーム部門の急激な減速があります。2019年8月にリリースした期待の大型タイトル「ポケモンマスターズ」で不具合が発生するなど、競争が激化するスマホゲーム市場において、かつての勢いを維持することが難しくなりました。結果として、関連する「のれん」の減損損失を計上するなど、業績には多大な影響が出ています。ちなみに「のれん」とは、M&A(企業の買収・合併)の際に、買収された企業の純資産以上の金額を支払った場合に発生する無形固定資産のことです。これに減損が発生するということは、買収先企業の収益力が当初の期待を下回ったことを意味し、経営判断の厳しさを物語っています。
新規事業の苦悩と、これからの展望
決算説明会にて、守安功社長は「当初の予定より収益化に向けた時間やコストが多くなった」と、率直に苦境を認めました。ゲームに次ぐ第3の柱として期待を寄せていたオートモーティブ(自動車関連)事業についても、配車アプリ「MOV(モブ)」を日本交通ホールディングスの事業と統合するなど、厳しい選択を迫られています。SNS上では「DeNAの決断は正しいのか」「新規事業の芽が出るまで時間がかかりすぎる」といった、経営の舵取りに対する懸念の声が多く上がっており、ファンの間でも不安が広がっている様子が見受けられます。
私個人としては、今回の苦境を「成長痛」と捉えるべきだと考えます。変化の激しいテック業界において、新規事業の収益化は極めて難易度が高いものです。DeNAが掲げるオートモーティブ、ヘルスケア、ネットサービスという成長領域は、社会的なニーズが高い分野でもあります。守安社長が従来路線を維持すると明言した通り、今は耐え忍びながら、より強固な収益モデルを構築する「我慢の時期」なのかもしれません。
2019年4月から12月までの連結決算では、最終損益が501億円の赤字という厳しい結果となりました。しかし、この数字を教訓に、今後どのように事業ポートフォリオを組み替え、新たな成長フェーズへと移行できるのか。DeNAの真価がまさに今、問われています。私たちユーザーや投資家も、同社の変革を冷静かつ期待を持って見守っていく必要があるのではないでしょうか。
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