2020年2月8日、日本の伝統的な酒造業界を揺るがす大きな動きが話題となっています。2020年度の税制改正大綱において、日本酒製造への新規参入を認める制度改正が盛り込まれました。なんと戦後初となる事実上の規制緩和が動き出します。しかし、今回の決定には大きな「条件」が付いていました。新しく参入した事業者が醸造した日本酒は、国内市場での販売が認められず、輸出専用に限るというものです。この中途半端とも言える着地に対して、各方面から様々な声が上がっています。
今回、規制緩和の鍵となったのは、政府が定めている「最低製造量規制」の見直しです。酒税法に基づき、日本酒の製造免許を取得するためには、年間60キロリットル以上を生産しなければならないという高いハードルが存在します。これは一般的な一升瓶に換算すると約3万3千本分に相当する莫大な量です。2019年の日本酒輸出額は234億円と過去最高を記録しており、この活況な海外市場を取り込むために、政府は輸出用に限ってこの生産量の縛りを撤廃する方針を固めました。
SNS上では、この「輸出限定」という歪な構造に疑問を抱く投稿が相次いでいます。「日本の消費者が飲めないお酒を、海外へ輸出してブランド価値が高まるのだろうか」「海外で評価された逆輸入酒しか飲めないのは寂しい」といった困惑の声が広がっています。一方で「クラフトビールのように、小さな醸造所がユニークな味で世界に挑むきっかけになる」と前向きに捉える意見もあり、タイムラインは議論で白熱しています。既存の伝統を守るべきか、門戸を開くべきか、視点は様々です。
こうした規制緩和の動きに対して、老舗の大手酒造メーカーを中心とした既存の業界団体からは強い反発の声が上がっています。日本酒の国内出荷量は、1973年のピーク時に比べると現在は約3割に当たる年間49万キロリットルまで減少しているのが現状です。市場が徐々に縮小していく中での競争相手の増加は死活問題であり、「新規参入を認めれば価格競争が激化し、市場が崩壊してしまう」と、既存事業者を保護する立場から徹底的な防戦の構えを見せています。
かつて日本の金融業界は、行政が最も経営体力の弱い企業を基準に保護し、横並びの競争を維持する「護送船団方式」によって守られていました。しかし、その結果として世界的な競争力を失った過去があります。酒造業界も新規参入を拒み、過度な保護に依存し続ければ、産業全体の未来を閉ざしかねません。既存の権利を守るための政治的な立ち回りに終始するのではなく、多様な挑戦者が切磋琢磨して日本酒の新しい価値を世界に発信するべき時が来ていると考えます。
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