厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が、2020年02月07日に2020年度の診療報酬改定案を答申しました。診療報酬とは、健康保険を適用して治療や投薬を行う医療機関が受け取る公定価格、つまり実質的な収入のことです。今回の改定を巡っては、政府が事前に0.55%の引き上げ方針を決めていたことも影響し、全体として医療機関側に手厚い内容となりました。しかし、この見直しが本当に私たちの望む形になっているのか、疑問が残ります。
SNS上でも「仕事が忙しくて平日に通院できないから、もっとオンライン診療を身近にしてほしい」「現役世代の保険料負担ばかりが増えていくのは納得がいかない」といった、変化を求めるリアルな声が数多く上がっています。超高速・大容量の通信環境が整いつつある今、スマートフォンなどを活用した遠隔診療の普及は、患者の移動負担や金銭的コストを減らすために不可欠でしょう。今回の改定では対象となる病気が僅かに増えただけで、大きな進展は見られません。
対面による診断とデジタル技術を上手に組み合わせることで、安全で効果的な新しい医療体制を築くチャンスだったはずです。専門家を交えて患者目線のメリットを徹底的に議論する姿勢が、今の中医協にはもっと必要ではないでしょうか。現役世代や経済界が納める健康保険料が原資である以上、医療の主役である受診者の利便性を最優先に考えた仕組み作りを進めるべきだと強く感じます。
勤務医の働き方改革への支援と課題
今回の改定における最大の注目点は、病院で働く勤務医の労働環境を改善するための取り組みです。開業医とは異なり、組織に雇用されている医師は過酷な長時間労働に直面することが多く、労働基準監督署から是正勧告を受ける病院も後を絶ちません。疲弊した状態の医師が手術を執刀するような事態は、当然ながら患者側としても絶対に避けたいものです。そのため、医師の負担を軽減する施策に診療報酬を手厚く配分すること自体には誰もが賛成でしょう。
具体的には、救急搬送の受け入れ実績や、負担軽減に向けた改善計画の策定を条件として、特定の病院に「地域医療体制確保加算」などの報酬が上乗せされます。しかし、ここで見過ごせない問題は、作成した計画が実際に達成されたかどうかを厳しく問わない仕組みになっている点です。これでは、私たちが支払った保険料や税金が、本当に現場の医師たちの労働時間短縮や処遇改善に役立ったのかを客観的に検証することが難しくなります。
さらに、花粉症の治療薬など、市販品と効果が変わらない処方薬の窓口負担引き上げについても、今回は実質的な見送りに終わりました。限られた財源を有効に活用し、真に効率的で持続可能な医療体制を築き上げる意志が、果たしてどこまであるのでしょうか。形式的な要件を満たすだけで終わらせず、成果に基づいた厳格な評価を行うことで、誰もが安心して質の高い医療を受けられる社会を実現してほしいと願います。
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