北海道の農業を力強く支えるホクレン農業協同組合連合会が、2019年度から2021年度にかけての新たな中期計画を2019年6月27日に発表いたしました。この計画の柱は、なんと総額114億円もの巨額な投資による物流網の整備と、災害発生時にも農業生産を維持するための強固な対策です。前の計画ではアジアへの輸出拡大やインターネットを通じた直販に力を入れていましたが、今回は日本の食糧基地である北海道の「基盤を守り抜く」という、堅実な姿勢が鮮明に打ち出されています。
特に注力するのが、根菜である甜菜(てんさい)の物流網の維持です。甜菜は、砂糖の原料となる作物で、北海道の重要な農業生産品の一つです。この甜菜の輸送を巡っては、全国的な問題となっている運転手不足が深刻な課題となっています。ホクレンは、この難局を乗り切るため、46億円という大きな予算を投じます。具体的には、農場から製糖工場へ運ぶルートの途中に集荷中継場を新設し、効率的な集荷を可能にします。また、工場側にも大型トラックがスムーズに荷物を降ろせるような設備を導入する予定で、作業の効率化と負担軽減を目指しているのでしょう。
さらに、大根や人参といった青果物についても、物流の改善が進められます。具体的には、発送から荷下ろしまでを一貫してパレットと呼ばれる台に積み付けたまま運ぶ「パレット積み」を徹底するため、段ボールの規格を統一します。これにより、途中で積み替えを行う手間を省くことができ、物流の省力化とスピードアップに繋がると考えられます。これらの取り組みは、北海道から全国への安定供給を維持するための、非常に重要な「守りの投資」であると言えるでしょう。
災害に強い農業基盤へ。全拠点に非常用電源を設置
農業生産を持続可能にするための災害対策にも、ホクレンは21億円を投じます。大規模な自然災害が発生しても農業活動を継続できるよう、灯油や軽油を広範囲に配送する全ての拠点に、非常用電源を設置する計画です。燃料の安定供給は、トラクターなどの農業機械の稼働に不可欠な生命線です。非常時においても、地域へ燃料を届け続ける体制を築くことは、日本の食糧供給を担う北海道にとって、極めて重要な使命であると私は考えます。
ホクレンの経営状況を見てみますと、2019年3月期の取扱高は、前年度と比べて1%増の1兆5301億円を記録し、過去最高を更新しました。これは企業の売上高に相当するもので、燃料価格の上昇や玉ねぎの価格高騰、そして生乳の生産量が増加したことが主な要因です。しかしながら、地域JAへの配当などに充てる剰余金については、前の期と比べ63%減の20億円となりました。これは、砂糖価格の下落に加え、北海道胆振東部地震や台風による被害に対応するための災害対策費が大きく影響した結果です。記録的な最高取扱高を達成しながらも、自然災害という大きな壁に直面し、その対策にコストを割いている現状が浮き彫りになりました。
この新中期計画は、SNS上でも「運転手不足という課題に正面から向き合っている」「災害対策を強化するのは心強い」といった、ホクレンの堅実な方針を評価する声が多く見受けられました。一方で、「輸出拡大などの攻めの姿勢も期待したい」という意見もあり、今後の事業展開への関心の高さがうかがえます。本計画は、国際的な競争力を高める「攻め」の戦略から、まずは足元の「物流」や「災害対策」というインフラを強固にする「守り」に徹することで、将来に向けた強靭な北海道農業の基盤を築き上げるものだと評価できるでしょう。
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