2019年07月31日、日本の教育業界に衝撃を与える重要な判断が下されました。東京都労働委員会は、大手学習塾「公文教育研究会」に対し、教室を運営する指導者たちが組織した労働組合との団体交渉を拒むことは「不当労働行為」にあたると認定したのです。このニュースは瞬く間に広がり、SNS上でも「働き方の定義が変わる一歩だ」「個人事業主という名の実態が浮き彫りになった」と、多くの関心を集めています。
今回の争点となったのは、フランチャイズ契約を結んでいる指導者が、労働組合法における「労働者」に該当するかどうかという点でした。公文側はこれまで、指導者は独立した事業主であるとの立場をとってきましたが、都労委はその実態を厳しく精査しました。労働者とは、一般的に会社に雇われて給与を得る人を指しますが、法的には「会社の指揮監督下にあるか」といった実態が重視されます。今回の判断は、その境界線に一石を投じるものとなりました。
指揮監督下にある実態が「労働者」認定の決め手に
都労委が指導者を労働者であると判断した背景には、契約の仕組みが大きく影響しています。会社側が一方的に契約内容を決定していることに加え、指導者が業務の依頼に対して拒否する自由が実質的に乏しいことが指摘されました。つまり、広い意味で会社のコントロール下に置かれているとみなされたのです。これに対し、ネット上では「看板を借りている以上、自由度は低い。今回の認定は当然の流れだろう」といった共感の声が目立ち、働き手の権利保護を支持する意見が噴出しています。
事の始まりは、2014年08月に約600人の指導者によって結成された「全国KUMON指導者ユニオン」の活動に遡ります。彼らは2016年12月、生徒から集めた会費の一部を本部に納める「ロイヤルティー」の減額などを求めて、会社側に話し合いを申し入れました。しかし、会社側は「意見は聞くが交渉は行わない」と、法的な交渉義務を否定する態度を貫いたのです。この対応が、結果として正当な理由のない「団体交渉拒否」であると断罪されることになりました。
この命令を受けて私は、現代のフランチャイズビジネスが抱える構造的な課題が表面化したと感じます。名目上は「オーナー」であっても、実際には本部の指示に従わざるを得ない人々が、正当な権利を守るために団結することは非常に勇気ある行動ではないでしょうか。教育の現場を支える先生たちが、経済的に安定し、納得感を持って働ける環境が整うことこそ、最終的には通塾する子どもたちの利益にもつながるはずだと確信しています。
今回の都労委の命令は、企業側に対して「誠実な交渉」を求める強力なメッセージとなりました。労働条件の改善を求める声が無視される時代は終わり、企業には真摯な対話が求められています。公文教育研究会が今後どのような対話の姿勢を見せるのか、そしてこの事例が他のフランチャイズ業界にどのような波紋を広げていくのか。2019年の夏、日本の労働環境は大きな転換点を迎えているといえるでしょう。
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