世界銀行が発表した2019年版のビジネス環境ランキングにおいて、日本の「司法手続きの利便性」が190カ国中52位という衝撃的な結果が明らかになりました。かつて技術大国と謳われた日本ですが、法制度のデジタル化という点では、国際社会から厳しい評価を下されているのが現状です。SNS上でも「役所の書類が未だに紙とハンコなのはおかしい」「裁判のために仕事を休んで裁判所へ行くのは非効率すぎる」といった、現状への不満や改革を望む声が数多く寄せられています。
このランキングの指標の一つである「司法手続きの質」において、特に日本の足を引っ張っているのが「裁判の自動化」という項目です。これは、オンラインで訴状を提出できるか、あるいは裁判費用の電子決済が可能かといった、ITの活用度合いを測定するものです。今の日本では、専用のデジタルプラットフォームを通じて電子的に訴えを提起する仕組みが十分に整っていません。ビジネスのスピード感が求められる現代において、こうしたアナログな手続きが経済活動の「重荷」になっていることは否定できないでしょう。
急加速するアジア諸国のデジタルシフト
日本が議論を重ねている傍らで、近隣のアジア諸国は驚異的なスピードで進化を遂げています。韓国や中国、さらにはベトナムといった国々では、すでに高度な司法ITシステムが構築され、運用が始まっているのです。例えば韓国では、2010年代前半から電子訴訟システムが本格稼働しており、自宅やオフィスのパソコンから24時間いつでも提訴や書類の閲覧が可能です。こうした他国の躍進を目の当たりにすると、日本が取り残されることへの危機感を抱かずにはいられません。
ここで言う「司法IT化」とは、単にパソコンを導入することではありません。訴状の作成から証拠の提出、さらには法廷での審理に至るまで、一連の流れをデジタルデータで完結させる「裁判の完全ペーパーレス化」を指します。ベトナムのような新興国であっても、既存の古いシステムに縛られない「リープフロッグ(カエル跳び)」的な進化によって、日本を一気に追い抜こうとしています。こうした利便性の向上は、外資系企業の誘致や国内ビジネスの活性化に直結する極めて重要な戦略なのです。
2023年の完全実現へ向けた日本の覚悟
日本政府もこの停滞を重く受け止めており、2023年以降のIT化完全実現を目指して、2019年08月05日現在も法整備やシステム構築に向けた議論が活発に行われています。改革の柱となるのは、ウェブ会議を活用した争点整理や、電子申立システムの構築です。これが実現すれば、遠方に住む当事者や多忙なビジネスパーソンも、裁判所へ足を運ぶ負担が大幅に軽減されるでしょう。また、手続きの透明性が高まり、裁判の迅速化が期待できるという大きなメリットも生まれます。
私は、日本の司法IT化こそが「令和の開国」に匹敵する重要なテーマであると考えています。公平で公正な司法制度は国の基盤ですが、それが「使いにくい」ものであっては意味がありません。デジタル化によって手続きが簡略化されれば、泣き寝入りしていた人々が法的な解決を求めやすくなるという、権利擁護の側面でも大きな価値があります。これまでの慣習を打破し、世界水準の利便性を取り戻すことは、今の日本にとって避けては通れない最優先課題と言えるでしょう。
今後、日本がアジアのリーダーとしての誇りを取り戻すためには、2023年という目標を単なる締め切りと捉えず、利用者の視点に立った真に使い勝手の良いシステムを構築することが不可欠です。紙の山に囲まれた法廷が、洗練されたデジタル空間へと生まれ変わる日はすぐそこまで来ています。私たち国民も、この司法のアップデートが社会をどう変えていくのか、強い関心を持って見守っていく必要があるのではないでしょうか。
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