2019年10月01日に控えた消費税率の引き上げまで、いよいよ残り1ヶ月を切りました。日経MJが実施した1000人規模の消費者意識調査によれば、意外にも約4割もの方々が「駆け込み購入はしない」と断言していることが判明したのです。かつての増税時に見られた狂騒曲のような買い物風景とは、少し様子が異なっているようですね。
今回の調査で特に注目すべきは、増税前に買いだめや高額商品を購入する予定がある人の中でも、その予算が「5万円未満」に留まっている層が全体の3分の1を占めている点でしょう。駆け込み消費とは、税率が上がる前に少しでも安く手に入れようと注文が殺到する現象を指しますが、今回はその波が非常に穏やかであると推測されます。
SNS上でもこの傾向は顕著に表れており、「数パーセントのために無理して買い物をする必要はない」といった冷静な意見が目立ちます。当初は夏場の需要と重なってエアコンなどの白物家電が売れると予測されていましたが、実際には販売が伸び悩んでいる状況です。消費者の皆さんは、目先の節約よりも家計の長期的なバランスを重視しているのかもしれません。
冷え込む購買意欲と「平準化」が進む現代の消費スタイル
東京都内に暮らす20代の女性会社員は、増税を目前にしても「買い物に走るような気持ちにはなれない」と、率直な胸の内を明かしてくれました。これは単なる節約志向というよりも、将来への不安や現在の所得水準に対する閉塞感からくる、消費意欲そのものの減退ではないかと私は感じています。ワクワクするような買い物の楽しさが、税率の壁に阻まれているようで見過ごせません。
一方で、政府や企業が取り組んできた「消費の平準化」という観点で見れば、今回の結果はある意味で成功と言えるのかもしれません。平準化とは、増税前後の極端な需要の変動を抑え、景気の急落を防ぐための施策を指す言葉です。駆け込みの山が低いということは、増税後の反動による景気悪化が抑えられる可能性を示唆しており、経済全体にとってはプラスの側面も存在します。
しかし、編集者としての私の視点では、この「静かな増税前夜」に一抹の寂しさを覚えます。本来、経済を活性化させるのは人々の「これが欲しい!」という熱量であるはずです。2019年08月30日現在のこの空気感は、合理的な判断の結果であると同時に、私たちの生活に心のゆとりが不足しているサインのようにも受け取れるのではないでしょうか。
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