人生100年時代、いつからでも夢は追えると教えてくれる素敵な話が、雪深い新潟県十日町市から届きました。2019年5月28日に紹介されたのは、この地でオーダーメイドのスピーカー工房「Kikko Craft(キッコクラフト)」を営む山崎喜久一郎さんです。長年の会社勤めを経て、50代後半で脱サラし2016年に起業。「やりたいことをやるなら今しかない」と一念発起し、趣味だったスピーカー作りを一生の仕事に選んだのです。
山崎さんが作るのは、世にも珍しい「球形スピーカー」。私たちがよく見る四角い箱型と違い、角がない球体は、音を濁らせる原因となる箱内部の不要な反射や、音の回折(角で音が曲がること)を抑える理想的な形とされています。その効果は絶大で、まるで目の前で演奏者が弾いているかのような、圧倒的な臨場感と奥行きを生み出すのです。
こだわりの素材は、地元・新潟県産の「杉」です。一般的に杉は柔らかく振動しやすいため、そのままでは音がぼやけてしまいスピーカーには不向きとされています。しかし山崎さんは、地場産業に貢献したい一心で、あえてこの難素材に挑戦しました。内部にネジを突っ張り棒のように配置して強度を高める独自の工夫で、杉の弱点を克服し、温かみのあるクリアな音質を実現したのです。
気になるお値段は、左右セットで約6万円から。決して安い買い物ではありませんが、全て手作りの一点物としては破格と言えるでしょう。「自分が買うなら、べらぼうに高い値段は嫌だ」という作り手の良心が詰まっています。SNS上では当時、「この歳での挑戦がかっこいい」「どんな音がするのか聴いてみたい」といった、生き方に共感する声やオーディオファンの熱い視線が注がれていました。
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