2019年5月27日、日本の自動車業界に新たな歴史が刻まれるニュースが飛び込んできました。トヨタグループの中核であるトヨタ紡織が、マツダ系列の有力部品メーカー、デルタ工業(広島県府中町)および東洋シート(同県海田町)と手を組み、アメリカで合弁会社を設立すると発表したのです。かつてはライバルとしてしのぎを削った「系列」の垣根を越え、海外で強力なタッグを結成することになりました。
彼らが目指すのは、トヨタとマツダ本体が2021年に米南部アラバマ州で稼働させる予定の、新しい完成車工場からの受注です。新会社はこの工場と同じアラバマ州に2019年中に設立される計画で、資本金は6000万ドル(当時のレートで約65億円)。出資比率は50パーセントずつという完全に対等な関係で、約400人の従業員を雇用し、2021年からの生産開始に向けて動き出しました。
自動車業界には長年、特定の完成車メーカーを頂点とする「ケイレツ(系列)」と呼ばれる強固なピラミッド構造がありました。しかし、世界的な競争が激化する中、その古い常識は過去のものとなりつつあります。親会社同士の提携が部品メーカーにも波及したこの動きは、まさに業界再編を象徴する出来事と言えるでしょう。現地では他の部品メーカーも進出を決めており、巨大なサプライチェーンが構築されようとしていました。
当時、この発表にSNSなどでは「まさに呉越同舟、生き残りをかけた本気を感じる」「オールジャパンで世界に挑んでほしい」といった、驚きとエールの声が多く上がりました。企業の枠を超えて技術を結集するこの挑戦は、日本のモノづくりが次世代のグローバル競争を勝ち抜くための重要な試金石となるはずです。
コメント