世界を席巻する中国のEC市場において、いま大きな地殻変動が起きています。業界の二大巨頭であるアリババグループと京東(JDドットコム)は、これまでの主戦場だった上海や北京といった沿岸部の大都市から、さらに奥地へと視線を注いでいるのです。2019年10月09日現在、都市部の消費が成熟しきった一方で、内陸部の地方都市や農村部が新たな成長のエンジンとして急速に台頭しています。
この動きを後押ししているのが、中国政府による手厚い振興策です。特に家電製品などの購入を支援する補助金制度は、地方の消費者の購買意欲を劇的に高めるカンフル剤となりました。SNS上でも「地元で最新のガジェットが手に入るようになった」「配送車をよく見かける」といった驚きの声が広がっており、ネット通販が日常に浸透していく様子がリアルタイムで伝わってきます。
ラストワンマイルの壁を突破できるか
しかし、このフロンティア開拓には避けては通れない壁が存在します。それは、広大な農村部特有の「物流コスト」という難題です。大都市に比べて一人あたりの購入単価が低い傾向にある一方で、配送網の整備には莫大な費用がかかります。いわゆる「ラストワンマイル(最終拠点から顧客の玄関口までの配送)」の効率化こそが、今後の勝敗を分ける極めて重要なファクターとなるでしょう。
各社はドローン配送や自動走行車といったハイテク技術を駆使し、配送の自動化を急ピッチで進めています。私は、この物流革命こそが中国経済の底力を示す試金石になると考えています。単なる商圏の拡大にとどまらず、インフラ整備を通じて地域格差を是正していくプロセスは、日本を含む他国の地方創生にとっても、非常に興味深い先行事例になるはずです。
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