日本を代表する通信の巨人、NTTが2019年11月5日に発表した2019年4月から2019年9月期までの連結決算は、時代の大きな転換点を感じさせる内容となりました。最終的な利益を示す純利益は、前年同期と比べて2%減少の5476億円に着地しています。この背景には、私たちの生活に欠かせない携帯電話サービスの利用料金値下げが、企業の収益構造にダイレクトに響いたという切実な事情が隠されているのです。
今回の減益を象徴するのが、傘下のNTTドコモが2019年6月から導入した新料金プランです。これはユーザーにとって家計の助けとなる嬉しいニュースでしたが、企業側からすれば、これまで収益の柱だった通信料収入が目減りすることを意味しました。こうした影響を、システム構築を手掛けるNTTデータなどの好調な非通信部門でも完全に補いきれなかった点は、業界全体の厳しさを物語っていると言えるでしょう。
SNS上では、今回の発表を受けて「ドコモの値下げは助かるけれど、企業の利益が減るのは複雑な気分」といった声や、「これからは通信以外でどう稼ぐのかが鍵になりそう」という鋭い分析が飛び交っています。売上高に相当する営業収益自体は、2019年5月に連結子会社化したエネットの影響もあり、2%増の5兆8895億円と成長を維持している点は、多角化戦略の成果が表れている証拠ではないでしょうか。
株式分割とdポイント贈呈で株主還元を加速
今後の見通しについては、2020年3月期の通期営業収益を11兆8900億円へと上方修正しており、攻めの姿勢を崩していません。ドコモへの積極的な投資を継続するため利益予想は据え置かれていますが、これは次世代のインフラ整備に向けた必要なステップだと私は確信しています。目先の数字に一喜一憂せず、未来を見据えた設備投資を優先する決断は、テクノロジーの進化が加速する現代において非常に賢明な判断です。
さらに投資家を驚かせたのが、2019年12月31日を基準日とする「1株を2株に分ける」株式分割の発表でした。ここで注目したいのは、単に株を買いやすくするだけでなく、2020年3月末時点で100株以上を保有する株主に対し、共通ポイントである「dポイント」を付与するという斬新な還元策です。これは株主を「投資家」としてだけでなく「サービス利用者」としても囲い込む、非常に現代的でスマートな戦略だと感じます。
今回のような収益構造の変化は、単なる減益という言葉では片付けられない、通信キャリアの「脱・通信」を加速させる号砲となるでしょう。値下げという逆風を跳ね返し、システム開発やエネルギー事業、そしてポイント経済圏をどこまで拡大できるのか、今後の動向から目が離せません。私たちは今、誰もがより安く、より便利にテクノロジーを享受できる新しいフェーズへの入り口に立っているのです。
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