北海道東部の玄関口、釧路港で、家畜の餌となる飼料を受け入れるための設備増強が相次ぎ、国内有数の酪農地帯である道東エリアへの飼料供給拠点としての役割が飛躍的に高まっています。この動きの背景には、酪農家の経営が大規模化し、牛などの家畜を育てるための飼料需要が近年大きく高まっている現状があります。輸入に大きく頼る飼料原料の安定供給は、日本の食料安全保障にとっても非常に重要であり、まさに酪農大国北海道の「生命線」といえるでしょう。このインフラ整備は、飼料の輸送効率を大幅に改善し、道東地域の農業生産を力強く支えることが期待されます。
港湾輸送を担う三ツ輪運輸様(北海道釧路市)は、飼料原料を貯蔵するサイロの増設をこのほど完了されました。サイロとは、穀物や飼料原料を大量に保管するための塔状の倉庫で、この増設により、貯蔵能力は従来の約8%増となる約17万1千トンに達したといいます。総事業費約30億円を投じたこのプロジェクトは、2018年春に着手され、2019年4月に飼料原料の保管用サイロ17基が完成しました。ここで貯蔵されるのは、トウモロコシと混ぜて牛などの配合飼料にする大豆かすなどの原料です。同社の有岡勇常務は、「飼料原料の取り扱いの8割を海外からの輸入に依存しており、釧路港で大型船を受け入れられるようになった以上、さらなる機能の充実が不可欠である」と、未来を見据えた必要性を語っておられます。
この機能強化の核となるのが、釧路港が国から指定を受けた「国際バルク戦略港湾」としての整備です。国際バルク戦略港湾とは、大量に輸入される穀物や石炭などのばら積み貨物(バルク)を取り扱う国内の重要拠点を指し、国が重点的にインフラ整備を進めています。釧路港では、約182億円もの大規模な投資が行われ、水深14メートル、長さ300メートルの岸壁を持つ「国際物流ターミナル」が2018年11月に完成しました。従来の水深12メートルの岸壁では、穀物を満載した大型船がそのまま接岸できず、途中の港で貨物の一部を降ろさなければならないという非効率な運用を強いられていました。しかし、新岸壁の完成により、大型船が満載状態で直接接岸することが可能となり、輸入飼料の輸送効率が飛躍的に向上することになるでしょう。
飼料メーカーの大型投資と物流インフラの連携
釧路港の機能強化を見越して、飼料メーカーも大規模な新工場建設に乗り出しました。中部飼料様は、苫小牧市に次ぐ道内2カ所目の工場を西港区第2埠頭の近隣地に建設されており、2019年8月の稼働を予定されています。約60億円を投じるというこの大型プロジェクトは、道東の酪農家や畜産農家への供給体制を一層盤石なものとするでしょう。さらに三ツ輪運輸様は、増設した保管用サイロから中部飼料様の新工場へ飼料原料を効率良く搬送するための、約800メートルに及ぶコンベヤーを現在(2019年6月)急ピッチで建設中とのことです。このコンベヤーは2019年6月中の完成を目指しており、原料受け入れから工場での製造までの一連の流れが、よりスムーズに、より衛生的に結ばれることになります。
釧路港湾エリアには、複数の飼料メーカーの工場が集積しており、ここで製造された牛のエサとなる配合飼料は、釧路、根室、十勝といった国内有数の酪農・畜産が盛んな地域に供給されています。また、港湾だけではなく、陸上輸送のインフラ整備も進んでいます。2019年3月には、釧路市街地から、別海町や中標津町といった広大な酪農地帯へと繋がる自動車専用道路「釧路外環状道路」の延伸工事が完了し、飼料や生乳を運ぶトラックの輸送効率アップにも貢献しています。このように、国や企業、自治体が一体となって港湾・道路という物流インフラの整備を加速させていることは、北海道の、そして日本の食を支える上で、極めて心強い動きであると私は考えております。
生乳生産量が全国の約5割を占める北海道において、道東地域の飼料供給基地としての釧路港の役割は、今後さらに重要性を増していくに違いありません。この一連の動きは、ただ単に設備が新しくなるというだけでなく、国内の食料供給を支える物流の強靭化を意味しています。SNS上では、「このインフラ整備が北海道の農業を未来永劫支えてくれるだろう」「これで飼料のコストダウンにつながってほしい」といった、酪農関係者や地域住民からの期待の声が多く見受けられます。釧路港の強化は、日本の食卓に新鮮な牛乳や乳製品を届け続けるための、未来への投資と言えるのではないでしょうか。需要地に近い道東エリアだからこそ、その供給基地としての使命は、計り知れないものがあるといえるでしょう。
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