2019年10月01日の消費税率引き上げから1カ月が経過し、私たちの生活にどのような変化が起きているのか、その実態が見えてきました。百貨店などの高額商品を取り扱う業界が苦戦を強いられる一方で、意外にもレジャー施設への影響は非常に軽微なものにとどまっています。
東京都多摩市に位置する「サンリオピューロランド」では、2019年10月の入場者数が前年比で4.7%減少しました。しかし、これは東日本を襲った台風19号による2日間の休園が大きく響いた結果です。この台風の影響を除外して計算すると、なんと前年比9.4%増という驚異的な伸びを記録しています。
さらに注目すべきは、園内での物販や飲食の売上高が前年比で29.9%も急増している点です。増税に伴いチケット価格が改定されましたが、ファンの熱量は全く冷めていないようです。SNS上でも「値上がりしても、推しに会える空間はプライスレス」といった、体験価値を重視する声が目立っています。
東京ディズニーリゾートが予測を上回る3000万人超えへ
千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも、非常にポジティブな動きを見せています。2019年10月01日より、大人の1日パスポートを7400円から7500円に改定し、飲食代金についても適切に価格転嫁を行いました。
値上げによる客離れが危惧されましたが、同社の取締役は「目立った影響は見られない」と自信をのぞかせています。それどころか、2020年03月期の年間入場者数予想を、期初に出していた3000万人から3150万人へと大幅に引き上げるという、強気の決断を下しました。
これは、2019年03月期に過去最高の入場者数を更新した勢いが、増税というハードルを軽々と飛び越えていることを示唆しています。専門用語で言えば、消費者が商品やサービスに対して感じる価値が価格を上回る「消費者余剰」が、レジャー分野では依然として大きいのでしょう。
レジャー消費を「削れない」現代人のライフスタイル
山梨県の富士急ハイランドでも、フリーパスの値上げを感じさせない活気があふれています。現場を訪れた利用客からは「値上げしたことを知らなかった」という声すら聞かれ、昨年導入された入園無料化のインパクトが、価格改定のネガティブな印象を打ち消しているようです。
なぜ消費者はこれほどまでにレジャーに対して寛容なのでしょうか。桜美林大学の山口有次教授によれば、日本人の可処分所得(税金などを引いた手取り収入)が伸び悩むなかで、すでに不必要な娯楽の選別は増税前から終わっているといいます。
つまり、今残っているレジャーは「生活の質を維持するために不可欠なもの」として確立されているのです。これ以上趣味を削れば人生の満足度が損なわれてしまうため、数パーセントの増税程度では外出を控える動機にはならないという、現代社会の切実な背景が透けて見えます。
個人的な見解ですが、現代の消費者は「モノ」を買う満足感よりも、その場でしか得られない「体験」に対して、より強固な財布の紐を緩める傾向にあると感じます。レジャー施設が提供する高揚感は、もはや贅沢品ではなく、日々の活力を生む必要不可欠なインフラとなっているのかもしれません。
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