2019年10月の台風19号は、福島県内の中堅・中小企業に癒えることのない深い爪痕を残しました。2019年11月20日現在、被災地では懸命な復旧作業が続いていますが、現場の状況は想像以上に複雑です。郡山商工会議所の滝田康雄会頭は、今回の水害について「東日本大震災とは明らかに性質が異なる」と警鐘を鳴らしています。
かつての震災は地域全体を等しく襲いましたが、今回の水害は特定の河川沿いなどに被害が集中する「局地性」が最大の特徴と言えるでしょう。SNS上でも「同じ町内なのに、道一本隔てただけで天国と地獄の差がある」といった悲痛な声が拡散されており、その格差が支援の難しさを象徴しているのではないでしょうか。
たとえば、わずかな地盤のかさ上げの有無が命運を分けました。床上浸水を免れたとしても、建物の地下や床下に設置された「受配電設備(電力を施設内で使える電圧に変える装置)」が冠水すれば、工場全体の機能が完全に停止してしまいます。こうした設備トラブルは一見して分かりにくいため、より丁寧な調査が求められます。
工業団地の危機とサプライチェーンの断絶
郡山市の中央工業団地では、大手を含む多くの企業が深刻な打撃を受けています。精密装置は一度浸水すれば代替が難しく、収穫直後の米を失った農業関連企業の悲しみも計り知れません。操業停止が長引けば、長年築き上げた取引先との関係、いわゆる「サプライチェーン(供給網)」が崩壊する恐れがあります。
SNSでは「福島のモノづくりを絶やさないで」という応援が相次ぐ一方、現場では廃棄物処理が一段落し、ようやく将来を考え始めた経営者が増えています。しかし、ここで最も懸念されるのが「転廃業」の動きです。設備投資の負担や将来への不安から、事業を畳む決断を下す企業が出るのは防がねばなりません。
私は、今こそ官民が一体となった「伴走型支援」を強化すべきだと強く感じます。画一的な補助金制度では、細分化された個別のニーズを拾いきれません。滝田会頭が仰るように、商工会議所の職員が泥にまみれながら現場に足を運び、一社一社の実情を吸い上げることが、復興の第一歩になるはずです。
また、金融機関には短期的な利益を超えた、長期的な視点での柔軟な融資措置を期待したいところでしょう。福島の経済を支える中小企業は、地域の宝です。2019年11月20日、私たちはこの困難を乗り越えるために、制度の隙間に落ちる企業を一人も出さないという強い決意を持つ必要があるのではないでしょうか。
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