中国地方に拠点を置く上場企業の業績に、いま急速なブレーキがかかっています。2019年11月21日現在の集計によると、3月期決算を行う主要41社のうち、約半数に近い19社で2019年4月から9月期までの経常損益が悪化するという厳しい結果になりました。経常損益とは、企業が本業だけでなく財務活動も含めて稼ぎ出した、いわば「実力値」を示す指標ですが、その数字が軒並み沈んでいるのです。
今回の業績悪化の背景には、長期化する米中貿易摩擦や、中国経済の減速という巨大な壁が立ちはだかっています。特に製造業へのダメージは深刻で、全体の37%にあたる15社が通期の業績予想を下方修正しました。SNS上でも「地元の大手企業がこれほど苦戦するとは」「地域経済への波及が心配だ」といった、先行きを不安視する声が次々と上がっており、企業の置かれた状況の厳しさが伺えます。
自動車産業を襲う逆風とサプライヤーへの連鎖
地域の看板企業であるマツダは、2020年3月期の連結経常利益が前期比40%減の700億円に止まる見通しを発表しました。当初の予想から550億円もの大幅な引き下げとなり、一転して大幅な減益に陥る形です。これには想定以上の円高進行に加え、米国や中国での販売不振が大きく響いています。為替が円高に振れると、海外で稼いだ利益を日本円に戻した際に目減りしてしまうため、輸出企業には大きな痛手となります。
マツダの苦境は、部品を供給するサプライヤーにも影を落としています。樹脂製バンパーを手掛けるダイキョーニシカワも、通期の利益予想を下方修正せざるを得ない状況です。さらに、自動車業界の需要減は鉄鋼や工作機械メーカーにも波及しています。北川鉄工所は利益予想を10億円引き下げ、滝沢鉄工所も自動車部品向けの受注が減少傾向にあると指摘しており、産業の土台を支える企業群が苦しい決断を迫られています。
素材・アパレル業界も直面する「想定外」の事態
化学・素材分野でも悲鳴が上がっています。戸田工業は、米中摩擦の影響で家電メーカーの生産が落ち込んだ結果、最終損益が12億円の赤字に転落する見込みです。また、宇部興産も中国経済の減速が世界規模で広がっているとして、ナイロン販売の減少などを理由に下方修正を発表しました。こうした素材メーカーの苦戦は、世界のサプライチェーンがいかに密接に関係しているかを改めて浮き彫りにしています。
一方、内需型企業では青山商事が創業以来初の最終赤字を見込むという、衝撃的なニュースが飛び込んできました。ビジネスウエア事業の苦戦に加え、不採算事業からの撤退費用が重くのしかかっています。2019年10月から導入された消費増税や人件費の高騰は、今後も小売業の経営を圧迫し続けるでしょう。企業の成長力が試される局面ですが、今はまず、この荒波をどう耐え抜くかに注目が集まっています。
編集者の視点:今こそ産業構造の転換が求められる
今回の決算発表を見て感じるのは、特定市場や特定業種への依存がいかにリスクを孕んでいるかということです。米中という二大巨頭の対立に翻弄される現在の状況は、もはや一企業の努力だけで解決できる次元を超えているのかもしれません。しかし、これを「外部環境のせい」と片付けるのではなく、新たな収益の柱を構築する好機と捉えるべきでしょう。地場産業の強みをどう再定義するかが、今後の鍵を握ることになりそうです。
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