広島市信用組合の「情熱融資」が地域を救う!赤字・債務超過も厭わない現場主義の真髄とは

低金利や人口減少の波が押し寄せ、地域金融機関を取り巻く環境はかつてない厳しさに直面しています。そんな中、広島県で「シシンヨー」の愛称で親しまれる広島市信用組合が、驚異的な存在感を放っています。彼らが実践するのは、単なるお金の貸し借りを超えた「リレーションシップバンキング」の究極形です。これは、金融機関が顧客企業と深い信頼関係を築き、その成長を長期的に支える地域密着型のビジネスモデルを指します。

2019年10月中旬、午前7時前の広島市信用組合本店では、山本明弘理事長の力強い声が響き渡っていました。74歳を迎えながらも衰えぬ情熱を持つ彼は、各支店の融資案件に対し、書類上の数字よりも「経営者の人間性」を厳しく問いかけます。「財務状況は資料を見れば済む話だ。その人物が本当に本気なのか、それを見極めろ」という言葉に、現場主義を貫くシシンヨーの哲学が凝縮されていると言えるでしょう。

SNS上でも「地元企業の最後の砦」として高く評価される同組合は、融資判断の圧倒的なスピード感で知られています。新規融資の可否を原則3日以内に決定するという方針は、一刻を争う中小企業の経営者にとって、これ以上ない救いとなります。たとえ決算書が赤字であっても、あるいは負債が資産を上回る債務超過の状態であっても、将来への熱意があれば彼らは決して背を向けないのです。

スポンサーリンク

決算書には映らない「現場の息遣い」を読み取る力

山本理事長が自ら掲げるモットーは「足で稼ぐ現場主義」です。理事長自らが広島県内35の営業拠点に足を運び、顧客のもとへ直接訪問することもあります。工場の機械がどう動いているか、在庫の積み上がり方は適切か、そして何より従業員が活き活きと働いているか。こうした数字に表れない生の情報こそが、確かな融資判断の源泉となります。こうした泥臭いまでの密着取材のような姿勢こそ、AIには真似できない金融の本質です。

実際にシシンヨーに救われた企業の一つが、広島市の景山産業です。鉄道部品の製造を手掛ける同社は、約10年前、運転資金の確保に苦慮していました。他の金融機関が二の足を踏む中、シシンヨーは「高速鉄道の海外需要を見据えれば将来性は十分だ」と判断し、2000万円を即決で融資しました。この決断が実を結び、同社は直近で6億円弱の新工場資金を調達するまでの成長を遂げ、今では地域への貢献を誓うほどに回復しています。

また、創薬スタートアップのツーセルや歩行補助装置を開発するスペース・バイオ・ラボラトリーズなど、次世代を担う企業もシシンヨーの支援を受けています。こうしたリスクを取る姿勢は、結果として同行の収益性向上にも繋がっています。2019年3月期の貸出金利回りは2.6%に達し、近隣の金融機関を大きく上回る高水準を維持しているのです。

地域で集めた大切な資金を、再び地域へ還流させて経済を循環させる。山本理事長は「リレバンが儲からないなどとは言わせない」と断言します。シシンヨーが示す18期連続の増益見込みという実績は、覚悟を持って地場企業と心中する姿勢が、最強のビジネスモデルになり得ることを証明しています。私自身も、こうした「顔の見える金融」こそが、日本の地方創生を支える真の鍵になると確信しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました