2019年11月16日の大相撲九州場所7日目において、熊本県出身の正代関が、ご当所力士としての意地を見せつける快勝を飾りました。土俵際で繰り広げられたのは、まさに執念がぶつかり合う激戦です。対戦相手である松鳳山関の強烈な「張り手(手のひらで相手の顔や首を叩く技)」や、喉を押し上げる「のど輪」という猛攻をまともに浴びながらも、正代関の足は決して止まりませんでした。
自分でも納得のいく圧力をかけられたと語るその取組は、気迫あふれる「押し出し」で決着し、見事に連敗を2でストップさせています。首位を独走する横綱白鵬関を追いかける優勝争いの集団は、この日の結果を受けて12人から5人へと絞り込まれました。その生き残りレースに正代関が踏み止まったことは、後半戦に向けた大きな期待を抱かせる一歩となったに違いありません。
スピード出世の裏に潜む「ネガティブ」な素顔と実力
正代関といえば、初土俵からわずか17場所で関脇に昇進するという、驚異的なスピード出世を果たした実力派として知られています。しかし、直近の場所では3勝12敗と大きく負け越し、今場所は2016年01月場所での新入幕以来となる、平幕の2桁台まで番付を落としていました。本人は現状に対して「若手の台頭は焦りでしかない」と、アスリートらしからぬ弱気な発言を口にすることもあります。
地元ファンからの熱烈な大声援についても、時には「やりにくさを感じる」と漏らしてしまうほど、繊細で独特な感性の持ち主です。SNS上では、こうした彼の正直すぎる姿勢に対して「人間味があって応援したくなる」「ネガティブ力士の本気が見たい」といった、親しみと激励の入り混じった声が多く寄せられています。飾らない言葉が、かえって現代のファンの心を掴んでいるのでしょう。
しかし、データを見れば彼がいかに非凡な力士であるかは一目瞭然と言えます。実は入門から過去5年間の九州場所において、彼は一度も負け越すことなく、全て勝ち越しの成績を収めているのです。自らを不安視する内面とは裏腹に、土俵の上では圧倒的な適応力を見せる正代関が、このまま地元での巻き返しを加速させ、賜杯争いにどこまで食らいついていくのか目が離せません。
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