マイナス金利下でも健闘!長野県内6信金の2019年度中間決算から見える地域金融の最前線

2019年11月27日、長野県内に拠点を置く全6つの信用金庫による、2019年度上期(2019年4月1日から2019年9月30日まで)の単独決算が出そろいました。日本銀行によるマイナス金利政策が長期化し、銀行が本来の業務で収益を上げにくい逆風が吹くなか、驚くべきことに5つの信金が実質的な増益を達成しています。SNS上では「地元の金庫が頑張っていて安心した」という声がある一方で、「本業以外の利益が支えなのは不安だ」といった鋭い指摘も飛び交っており、地域金融への関心の高さが伺えます。

今回の決算で注目すべきキーワードは「実質業務純益」という指標でしょう。これは、一般企業の営業利益に相当するもので、貸出金の利息収入や手数料など、金融機関が本業を通じてどれだけ効率的に稼いだかを表しています。多くの信金でこの数字が改善した背景には、投資信託の解約に伴う利益や、米国債を中心とした外国証券からの配当金が大きく寄与しました。長野信用金庫では前年同期比30%増、上田信用金庫では実に83%増という大幅な伸びを記録し、運用の工夫が光る結果となっています。

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本業の苦境とコスト削減による必死の防衛

一方で、楽観視できない現実も浮き彫りになりました。企業への融資や個人ローンによる「利息収入」については、上田信用金庫を除く5つの信金で減少傾向にあります。これは、お金を貸し出す際の金利水準(貸出金利回り)が低下し続けているためで、まさにマイナス金利の副作用が現場を直撃している格好です。松本信用金庫やアルプス中央信用金庫では、預金者へ支払う利息の抑制や人件費などの経費削減を徹底することで、なんとか利益を捻出しているのが実情と言えるでしょう。

唯一の減益となった飯田信用金庫の事例は、現在の運用難を象徴しています。過去に購入した高利回りの社債が償還、つまり満期を迎えてお金が戻ってきたものの、次に購入できる社債の利回りが低いため、以前のような収益を維持できなくなっているのです。このように、運用環境の悪化は地域金融の屋台骨をじわじわと削っています。編集者の視点で見れば、コストカットによる利益捻出には限界があり、今後は地域に寄り添った新たな付加価値サービスへの転換が急務だと感じます。

迫りくる不透明な先行きと災害の影

今後の懸念材料として無視できないのが、企業の設備投資意欲の減退です。2019年は米中貿易摩擦という世界規模の経済対立が影を落とし、長野県内の企業も投資に対して慎重な姿勢を強めています。諏訪信用金庫などが指摘するように、先行きが見通せない中で企業が融資を受けて新しい工場を建てる動きが鈍くなっており、これが信金の貸出金残高の伸び悩みへと直結しました。地域経済のエンジンである設備投資が停滞することは、巡り巡って住民の所得にも影響しかねません。

さらに、2019年10月に発生した台風19号による甚大な被害も、下期の経営に大きな影を落とすでしょう。千曲川の決壊などで工場の浸水被害が相次いだ長野市周辺では、取引先企業の経営悪化に備え、損失をあらかじめ見積もる「引当金」を積み増す必要が出てくるはずです。厳しい自然災害を乗り越え、信金がどのように「地域の守り神」として企業再建を支援していけるのか、今こそその真価が問われています。単なる数字の増減を超えた、血の通った金融支援が今まさに求められているのではないでしょうか。

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