日本を代表する電機メーカーである東芝が、デジタル技術を駆使した次なる成長フェーズへと舵を切りました。2019年11月28日に東京都内で開催された技術戦略説明会にて、同社は「IoT(モノのインターネット)」に関連する12種類の新サービスを、2019年度中に順次開始することを正式に発表したのです。この動きは、これまでの経営再建から「積極的な成長」への転換を象徴する重要な一歩となります。
そもそもIoTとは、身の回りのあらゆるモノをインターネットに接続し、相互に情報をやり取りさせる仕組みを指します。東芝はこの技術を、長年培ってきたエネルギーや社会インフラ、製造業といった得意分野に導入します。具体的には、工場設備の効率的なメンテナンスや、鉄道車両の走行状態をリアルタイムで把握する遠隔監視、さらには火力発電所における故障の予兆検知システムなどが含まれており、現場の課題をデジタルで解決することを目指しています。
SNS上では「東芝がようやく攻めの姿勢を見せてきた」「現場のノウハウとデジタルの融合は強力だ」といった期待の声が上がる一方で、先行する日立製作所の「Lumada(ルマーダ)」などの競合プラットフォームとの対抗軸に注目する意見も多く見受けられます。産業界全体がデジタルトランスフォーメーションを加速させる中、東芝がどのような独自性を発揮できるのかが、市場の関心事となっているようです。
経営再建から「成長戦略」への劇的なシフト
説明会の壇上に立った車谷暢昭会長兼CEOは、これまでの歩みを振り返りつつも、力強く未来を語りました。2015年以降、不正会計問題や米原子炉大手の巨額損失によって、東芝は存亡の機に立たされました。その危機を回避するために稼ぎ頭だった半導体メモリ事業を売却するなど、厳しい痛みを伴う改革を断行してきたのです。しかし、今回発表されたIoT戦略は、まさにそうした暗雲を払拭するための「第二章」の幕開けといえるでしょう。
斉藤史郎執行役専務は、同社の強みが「長年の製造実績によって蓄積された膨大なデータと保守運用のノウハウにある」と強調しています。これらをデジタルの仮想モデル(デジタルツイン)と連携させることで、現実世界の動きを緻密にシミュレーションし、最適な運用を実現します。単に新しい技術を取り入れるだけでなく、創業以来の「ものづくり」の魂をデジタルへと昇華させる姿勢は、東芝らしい賢明な戦略だと感じます。
私個人の見解としては、この12種類のサービス展開こそが、新生東芝の真価を問う試金石になると考えています。既存のインフラ事業という安定した地盤に、IoTという付加価値を乗せることで、従来の「売り切り型」から、継続的な収益が見込める「サービス型ビジネス」への転換が加速するはずです。2020年3月末までに順次投入されるこれらのサービスが、日本の産業界をどうアップデートしていくのか、その動向から目が離せません。
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