インド洋に浮かぶ「真珠」とも称されるスリランカは、今まさに世界中の投資家から熱い視線を浴びています。F&S商会の藤井隼CEOは、現地で6年にわたりドライフルーツの輸出や100円ショップ商品の輸入を手掛けてきたパイオニアです。2019年4月に発生したテロ事件の影響を懸念する声もありますが、藤井氏は「投資先としての価値はむしろ高まっている」と断言します。
その最大の理由は、アジアと欧州、さらにはアフリカを繋ぐ海の玄関口という圧倒的な立地にあります。特にコロンボ臨海部の「ポートシティ」計画では、世界的ホテルチェーンが続々と進出を決めており、観光インフラの整備が加速しています。ネット上でも「スリランカのポテンシャルは計り知れない」という期待の声が上がっていますが、実際にビジネスを軌道に乗せるには、この国特有のルールを知る必要があるのです。
政治家の「リップサービス」に惑わされない胆力
スリランカのビジネス環境で最も驚かされるのは、政治家との物理的な距離の近さでしょう。藤井氏によれば、シリセーナ前大統領をはじめ、多くの閣僚と面会することは決して難しくありません。これは日本の約3倍、60近くもの大臣ポストが存在するためで、現地の知人を介せば容易に会食の機会すら巡ってきます。しかし、ここで日本人が陥りやすい罠が、彼らの寛大な「約束」なのです。
大臣たちが口にする「全面的に協力する」という言葉は、必ずしも実行を担保するものではありません。SNSでは「言葉の重みが日本とは違う」という体験談も散見されますが、藤井氏も、支援を真に受けて起業し、後に苦境に立たされた日本人を数多く目撃してきました。権力者とのコネクションを過信せず、支援内容を具体的に書面化させたり、証人を立てたりといった、徹底した情報の裏付けが不可欠です。
時間感覚の違いを理解しチャンスを掴む
もう一つのハードルは、独特の時間概念と国民性です。現地で「できます」という返答があった場合、それは納期の遵守を約束する意味ではなく、「最善を尽くす」という努力目標を指すことが一般的です。これはスリランカの人々の優しさの裏返しでもありますが、日本の厳格な基準で動くと大きなズレが生じます。藤井氏は、遅延をあらかじめ計算に入れた余裕のある工程管理を強く推奨しています。
2019年12月02日現在、スリランカへ進出している日系企業は約70社とまだ少数です。ライバルが少ない今だからこそ、文化の違いを尊重しつつ、戦略的に立ち回れば莫大な先行者利益を得られるはずです。私は、スリランカの親日的な国民性と成長性を信じ、リスクを正しく理解した上で挑戦する起業家が増えることを切に願っています。この未開の市場には、想像以上のチャンスが眠っているからです。
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