日本を代表する証券大手、野村ホールディングスに新たなリーダーが誕生します。2019年12月2日、次期グループ最高経営責任者(CEO)への就任が発表された奥田健太郎氏が都内で記者会見を行いました。奥田氏は現在の証券業界を取り巻く環境について、IT企業の参入を念頭に「非常に強い危機感を持っている」と率直な胸の内を語っています。
近年、金融とテクノロジーが融合した「フィンテック」の波が押し寄せ、既存の証券会社はかつてない変革を迫られています。SNS上でも「野村ほどの巨大組織がどう変わるのか」「ネット証券の勢いにどう対抗するのか」といった関心が非常に高まっています。奥田氏は、LINEと共同でネット証券を設立したことや、地方銀行との店舗網連携を例に挙げ、今後も他社との提携を柔軟に進める構えです。
グローバルな視点と論理的な経営手腕
奥田氏は、企業同士の結婚とも言われるM&A(合併・買収)や、企業の資金調達を支援するファイナンス分野で長くキャリアを積んできました。米国ペンシルベニア大学ウォートン校でMBA(経営学修士)を取得した国際派でもあります。MBAとは、経営学の専門知識を修得した証であり、海外のエリート層とも対等に渡り合える論理的思考力の基盤となっているのでしょう。
周囲からは「情熱的でありながら冷静」という高い評価を得ており、2017年からの米国駐在時には、市場構造の変化をいち早く察知して大胆なリストラを断行しました。特に「デリバティブ」と呼ばれる、株式や債券などの金融商品から派生した複雑な取引が伸びている状況を捉え、組織を筋肉質な体質へと変貌させています。こうした決断力の早さは、新時代のリーダーに相応しいものです。
デジタル活用とチームワークで描く未来
今後の注力ポイントとして、奥田氏はデジタル技術の徹底活用による顧客層の拡大を掲げています。また、海外事業においては「セカンダリー(流通市場)」での売買仲介から、企業が新たに証券を発行する際の支援を行う「プライマリー(発行市場)」へと軸足を移す方針です。これは、単なる取引の仲介役から、企業の成長を根底から支えるパートナーへの進化を目指す宣言といえるでしょう。
一部では、個人営業の経験不足を懸念する声も聞かれますが、奥田氏は「経営はチームワークで成し遂げるもの」と断言し、全く揺らぎを見せていません。私自身の見解としても、変化の激しい現代においては、一人のカリスマに頼るよりも、多様な専門性を持つチームを率いる論理的なリーダーの方が、組織の安定した成長を導けるはずです。野村がどのような「奥田色」に染まっていくのか、今後の展開から目が離せません。
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