【性別変更と親権】「未成年の子がいない」という壁。特例法の違憲性を問う勇気ある挑戦のゆくえ

2019年12月03日、兵庫県に住む52歳の契約社員の女性が、自身のアイデンティティを法的に確立するために立ち上がりました。彼女は性同一性障害と診断を受け、すでに性別適合手術を終えて社会生活も女性として送っていますが、戸籍上は依然として男性のままです。現在の法律が求める「性別変更には未成年の子がいないこと」という要件が、一人の親であり一人の人間である彼女の前に、大きな障壁となって立ちはだかっているのです。

今回の申し立てにおいて、代理人を務める仲岡しゅん弁護士は、この特例法の規定が「幸福追求権」や「法の下の平等」を保障した日本国憲法に抵触すると強く主張しています。本来、個人の尊厳を守るための法律が、子どもの存在を理由に本人の望む生き方を制限して良いのかという、非常に本質的な問いが投げかけられました。SNS上でも「家族の形は多様化しているのに、法律が追いついていない」といった共感の声や、法改正を求める議論が加速しています。

現在、彼女は女性名への改名を済ませ、職場でも女性として勤務していますが、戸籍の壁によって理不尽な待遇を強いられています。例えば、会社から男性用トイレの使用を指示されるといった、人格を否定されかねない日常的な苦痛に直面してきました。性同一性障害とは、自身の身体的な性別と心の性が一致しない状態を指す医学的な名称ですが、この乖離を解消しようとする努力が、法的な不備によって阻まれている現状は無視できません。

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「自分らしく生きたい」切実な願いが問いかける家族の在り方

彼女には過去の婚姻関係の中で授かった8歳の長女がいますが、実際には同居した経験はなく、戸籍上の親子関係のみが継続している状態です。それでも現行法は「未成年の子」がいれば一律に性別変更を認めておらず、彼女は「成人するまで待てと言われるのは、あまりに過酷です」と会見で涙ながらに訴えました。就職活動においても、戸籍が男性であることを理由に不採用や辞退を余儀なくされるケースが数え切れないほどあったと吐露しています。

私は、この問題は単なる一人の女性の訴えではなく、現代日本における「家族」や「性」の定義をアップデートする重要な分岐点だと考えています。子どもへの影響を懸念する声がある一方で、親が自分らしく生きる姿を見せることこそが、多様性を認める教育に繋がるのではないでしょうか。時代は確実に、個々の価値観や複雑な人間関係を柔軟に承認する方向へと動いており、法制度もその変化の波を真正面から受け止める時期に来ているはずです。

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