2019年12月08日現在、日本の労働市場は大きな転換期を迎えています。2025年には労働力人口の約6割を45歳以上が占めると予測されており、バブル期の大量採用によって膨らんだ中高年層の活躍が、日本経済の命運を握っているといっても過言ではありません。しかし、多くの企業では「役職定年」という壁が立ちはだかり、ベテラン社員の意欲を削いでいる実態があります。
役職定年とは、一定の年齢に達した際に管理職から退く人事制度のことで、経団連の調査では約半数の企業が導入しています。50歳代でポストを外れると、給与の大幅な減少とともに仕事への情熱を失ってしまうケースが後を絶ちません。こうしたモチベーションの低下による経済損失は、年間で約1兆5000億円にものぼると試算されており、企業にとって放置できない課題となっています。
日清食品が挑む「リバイバル制度」で年収200万円アップの事例も
こうした状況を打破しようと、日清食品は2019年に画期的な「リバイバル」制度を導入しました。通常、50歳を過ぎると管理職への道が閉ざされがちですが、自らのキャリアを棚卸しする講義や役員面接を経て、再び重要なポストに挑戦できる機会を提供しています。実際に54歳の社員がこの制度で営業所長に登用され、年収が1000万円の大台に乗るなど、再挑戦の文化が芽生えています。
SNS上では「年齢で可能性を決めつけない姿勢に勇気をもらえる」「ベテランの経験値と現役の役職が結びつくのは理想的」といった好意的な反響が広がっています。一方でオリックスでも、45歳以上の社員が別部署への異動を志願できる「FA制度」を2018年から開始しました。30名以上が手を挙げ、中国向けのヘルスケア事業など、未知の領域で新たな輝きを放つベテランが増えています。
終身雇用の壁を超えて!ITスキル武装と「リカレント教育」の重要性
企業がITやAI人材を渇望する一方で、若手の採用難は加速しています。2020年卒の採用市場では、目標数に届かない企業が20%に達する見込みです。ここで注目すべきは、社内に留まっている中高年層をIT人材へと再生させる「リカレント教育」です。これは社会人が生涯にわたって学び直し、スキルを更新し続ける教育システムを指し、シニア層の生産性を劇的に高める鍵となります。
中高年社員を「コスト」と見るか「資産」と見るか。私は、長年培った専門スキルに最新のデジタル知識を掛け合わせることこそ、最強の武器になると確信しています。日本は諸外国に比べ、社会人の大学入学率が極めて低い状況にありますが、学び直しによる年収増の効果は年間約80万円との試算もあります。企業も個人も「今さら無理だ」という固定観念を捨て去るべき時期に来ているのです。
太陽生命保険のように、役職定年そのものを廃止し、年齢に関わらず能力で評価する企業も現れ始めました。生産性向上を目指す挑戦は、デジタル時代の波に乗って加速しています。ベテランの豊富な知見と新しい学びが融合したとき、日本のビジネスシーンにはかつてない活気がもたらされることでしょう。これからの時代を生き抜くために、自分自身の価値を再定義する勇気が必要とされています。
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