2019年12月08日、東京よみうりカントリークラブで開催中の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は、まさに手に汗握る展開を迎えました。冷え込みが厳しさを増すなか、寒さで締まった高速グリーンが選手たちを苦しめています。そんな過酷なコンディションを巧みに攻略し、単独首位に躍り出たのが時松隆光選手です。SNS上では、彼の勝負強さと冷静なマネジメントに対して「源ちゃんのゴルフは見ていて安心感がある」「あのグリーンでパーを拾い続けるのは至難の業」といった驚きの声が次々と上がっています。
最終18番のパー3では、観客の視線が一点に集中しました。時松選手が手前の花道から放ったアプローチは、一度ピン奥1.5メートルに止まったかに見えましたが、傾斜によってカップ横へピタリと戻るという神業を披露。寒さによってアイアンの飛距離が落ちるなか、彼は無理にグリーンを狙うのではなく、外してもパーを拾いやすい場所を逆算してプレーしていました。こうした、物理的な飛距離不足を頭脳でカバーするプレースタイルこそが、現在の彼を支える大きな武器と言えるでしょう。
5番ホールではチップイン、続く6番でも見事な寄せで連続バーディーを奪い、序盤からリズムを掴みました。彼が特に警戒していたのは、フェードボール(右打ちの場合、左から右へ緩やかに曲がる球筋)を打つ選手にとって鬼門とされる9番から13番の「アーメンコーナー」です。魔物が潜むと言われるこの難所で、彼は4ホールでフェアウェイを外しながらもボギーを2個に抑える粘りを見せました。貯金を大きく減らさずに踏みとどまった精神力は、トッププロの矜持を感じさせます。
世界での挫折を糧に!4年連続優勝への強い決意
昨シーズン、時松選手は全英オープンや全米プロといった海外メジャー大会に挑みましたが、予選落ちという苦い経験を味わいました。世界の壁に跳ね返された悔しさをバネに、今季はスイングやゴルフ理論の再構築に心血を注いできたのです。しかし、2019年9月の「ANAオープン」では、史上最多の5人によるプレーオフの末に惜敗。勝利を目前にしながら手が届かないもどかしさを経験し、彼は「勝ちたいと願うほどゴルフは難解になる」という真理に辿り着いたのかもしれません。
11年連続で優勝を挙げている池田勇太選手の偉大さを改めて痛感したと語る時松選手。彼にとって、2016年のツアー初優勝から続く連続勝利記録を「4年」に伸ばすチャンスは、今大会が最後となります。国内メジャー初制覇という名誉よりも、目の前の一勝を積み重ねることに重きを置く彼の姿勢には、実直なゴルフへの愛が溢れています。今回の首位浮上は、泥臭く改善を繰り返してきた彼への、ゴルフの神様からのご褒美ではないかと私は強く感じてやみません。
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