モバイルゲーム業界を牽引してきたグリー株式会社が、2019年6月21日、投資家たちが注目していた2019年6月期の期末配当予想を発表しました。これまで「未定」とされていた1株当たりの年間配当は、10円となる見通しです。前期の配当実績が14円だったため、数字だけ見れば減配という形になりますが、前期には上場10周年記念配当の10円が含まれていました。普通配当ベースで見れば、企業としての還元姿勢を維持しようとする努力が垣間見える発表と言えるのではないでしょうか。
今回の発表で同時に明らかになった業績見通しは、決して楽観視できるものではありません。2019年6月期の連結営業利益は51億~56億円と見込まれており、これは前期比で40~46%の大幅な減少となります。また、売上高についても705億~715億円と、前期比8~9%の減少が予想されています。ゲーム市場の競争激化や開発費の高騰など、業界全体が直面している課題が、グリーの業績にも色濃く反映されている状況です。
「DOE」導入が意味する株主還元の安定化
厳しい業績予想の中で、投資家にとって明るい材料となり得るのが、今回新たに打ち出された株主還元方針の変更です。グリーはこれまでの「配当性向20%」という目標に加え、新たに「DOE(株主資本配当率)2%程度を確保する」という方針を掲げました。ここで登場する「DOE」という専門用語について、少し解説しましょう。これは、企業の「純資産(株主資本)」に対して、どれだけの配当を支払うかを示す指標のことです。
一般的な「配当性向」は、その年の「純利益」を基準にするため、業績が悪化して赤字になれば配当もゼロになるリスクがあります。しかし、純資産を基準にするDOEを採用することで、単年度の業績変動に左右されにくい、安定的で継続的な配当が期待できるようになるのです。ネット上の投資家コミュニティやSNSでは、「減益は痛いが、DOE導入はポジティブサプライズ」「業績が悪くても配当の下限が見えるのは安心感がある」といった、企業の姿勢を評価する声が上がっています。
編集後記:成熟企業としての新たなフェーズへ
私自身、今回のグリーの決断は、同社が「成長フェーズ」から「成熟フェーズ」へと移行しつつあることの表れだと感じています。ゲーム事業というボラティリティ(変動率)の高いビジネスモデルにおいて、あえてDOEという安定配当の指標を導入したことは、株主に対する誠意あるメッセージと言えるでしょう。「爆発的な成長」よりも「持続的な還元」を重視するこの姿勢が、今後の株価形成にどのような影響を与えるのか、市場の反応を注視していきたいと思います。
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