日本の正月の風景が、いま大きな転換点を迎えようとしています。セブン&アイ・ホールディングスは、2020年1月1日の元日に、傘下のイトーヨーカ堂やセブン-イレブンの一部店舗で休業を実施することを決定しました。これまで「年中無休」が当たり前だった小売業界において、この決断は非常にセンセーショナルなニュースとして世間を賑わせています。
具体的には、総合スーパーのイトーヨーカ堂が全159店舗のうち約1割に相当する16店舗を閉めます。2019年1月1日の際は、入居するビルの都合などで休んだ店舗はわずか3店のみでしたが、今回は企業自らが「従業員の環境改善」を掲げて規模を拡大しました。SNSでは「ついにこの時が来たか」「お正月くらいはみんな休むべきだ」と、好意的な意見が目立っています。
働き方改革がもたらす流通業界の新機軸
今回の施策の核心にあるのは、深刻な人手不足を背景とした「働き方改革」です。これは労働者が心身ともに健康に働けるよう、企業が長時間労働の是正や休暇取得を推進する取り組みを指します。ヨークマートでも全78店舗のうち約4割の35店舗が休みとなり、業界全体が「利便性」よりも「持続可能性」を重視する方向へ舵を切った印象を受けます。
さらに注目すべきは、コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンが踏み切る実証実験でしょう。東京都内の直営店とフランチャイズ(FC)加盟店を合わせて50店規模で、元日休業の影響を調査する予定です。フランチャイズとは、本部から看板やノウハウを借りて個人事業主などが経営する仕組みですが、オーナーたちの負担軽減を求める声に本部が応えた形といえます。
私個人の見解としては、この試みは単なる一日の休み以上の価値があると感じます。消費者が「いつでもどこでも買える」という過剰なサービスに慣れすぎた現代において、正月という特別な日を静かに祝う文化を取り戻すきっかけになるはずです。従業員がリフレッシュすることで、結果として接客サービスの質も向上するのではないでしょうか。
セブン&アイは、今回の試行期間で得られた来店客の反応や売り上げへの影響を2020年中に精査し、2021年以降に休業範囲をさらに広げるか検討する方針です。利便性を追求してきた流通の巨人が示す「休み」の価値が、私たちのライフスタイルをどのように塗り替えていくのか、その動向から目が離せません。
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