静岡市に本拠を置くウェルビーフードシステムが、いよいよ県外の幼稚園や保育園へ給食受託事業を拡大します。2019年12月に横浜市で開催される大規模な展示イベントへの初出展を皮切りに、まずは神奈川県内での需要開拓に乗り出す構えです。
同社はこれまで、主に高齢者施設向けの給食事業で高い評価を得てきました。介護食で培ったきめ細やかな調理ノウハウを、今後は成長期の子どもたちの「食」へと注ぎ込みます。2021年以降には東京都内にも新たな拠点を構え、首都圏全域への展開を目指しています。
SNS上では「子どもには安心できるものを食べさせたい」という親世代の声が多く、同社の「手作り」へのこだわりが注目を集めそうです。冷凍食品に頼らず、地元静岡の新鮮な食材を活かした献立は、食の安全性が問われる現代において強力な武器になるでしょう。
徹底した「手作り」と健康へのこだわりが選ばれる理由
ウェルビーフードシステムの最大の特徴は、徹底した「健康配慮」にあります。子どもたちの味覚形成に大切な調味料は厳選されたものを使用し、おやつまでもが一つひとつ丁寧に手作りされています。これは、効率を重視する現代の給食シーンでは非常に稀な取り組みです。
ここで注目すべきは、同社が培ってきた「介護食」の技術です。介護食とは、噛む力や飲み込む力が弱まった高齢者向けに、形態を工夫しながら栄養価を損なわないように作る特殊な食事を指します。この繊細な調理技術が、子ども向けの食事にも応用されているのです。
2019年2月には専門の「幼・保育給食戦略室」を新設し、受託体制を大幅に強化しました。現在は静岡県内7園で提供中ですが、近々さらに2園での受託が決定しています。古谷博義社長は、2025年までに受託先を50園規模まで拡大させるという強気の見通しを示しています。
保育現場の課題を解決するアウトソーシングの形
現在、多くの保育園は規制により園内調理を行っていますが、現場では衛生管理や労務管理を担う専門人材の不足が深刻化しています。そこで、専門業者に業務を丸ごと任せる「アウトソーシング」という選択が、現場の負担を軽減する鍵として期待されています。
ウェルビーフードシステムは単に業務を引き受けるだけでなく、園に在籍する調理師が希望すれば自社社員として雇用を継続する方針を採っています。これにより、園内の人間関係や慣れ親しんだ環境を維持しつつ、プロフェッショナルな管理体制を導入することが可能です。
私は、この柔軟な雇用体制こそが、人材不足に悩む都市部の保育現場を救う画期的なモデルになると考えます。高齢者向け給食では食材調達の難しさから県外進出を控えていた同社ですが、汎用性の高い子ども向け給食なら、その高い志を全国へ広げられるはずです。
1982年の設立以来、社員食堂から介護施設へとフィールドを広げてきた同社の挑戦は、2019年5月期の売上高19億円という確かな実績に支えられています。静岡の「お母さんの味」のような温かい給食が、首都圏の子どもたちの笑顔を支える日はもうすぐそこです。
コメント