岐阜県恵那市から産声を上げ、中部・北陸エリアを中心に絶大な支持を集めるバローホールディングス。今、この巨大流通グループが「スーパーマーケット」という既存の枠組みを自ら壊し、新たなステージへと突き進んでいます。2019年12月04日現在、彼らが目指すのは、単なる買い物拠点を超えた「総合小売」の新しい形です。
SNS上では、バローが展開するドラッグストア「Vドラッグ」の進化に驚きの声が上がっています。「ドラッグストアなのに総菜が本格的すぎる」「ランチの選択肢がコンビニからVドラッグに変わった」といった投稿が相次ぎ、オフィス街の風景を一変させているのです。その象徴ともいえるのが、名古屋市千種区にあるVドラッグ内山店でしょう。
ドラッグストアと専門店の融合が産む「新常識」
Vドラッグ内山店を訪れると、スーツ姿のビジネスパーソンが次々と弁当を手に取る光景に出会います。ここで販売されているのは、バローが誇る総菜専門店「デリカキッチン」の彩り豊かなサラダや、店内で調理された熱々の揚げ物です。まさに、利便性の高いドラッグストアと、品質重視のスーパーの「良いとこ取り」を実現した空間といえます。
「伝統的なスーパーでは生き残れない」と、田代正美会長兼社長は力強く語ります。これは決して後ろ向きな言葉ではありません。消費者のニーズが「近さ」と「時短」にシフトする中で、既存のビジネスモデルをアップデートしなければならないという、編集者である私から見ても極めて冷静で、かつ攻めの姿勢を感じさせる決意の表れなのです。
脅威の利益率を叩き出す「タチヤモデル」の衝撃
グループ内で異彩を放つのが、生鮮食材に特化した「タチヤ」です。手書きの値札が躍る店内は活気に溢れ、18時には閉店、週休2日という、現代の小売業では珍しいスタイルを貫いています。しかし、その経常利益率は6.3%と、グループ内の一般的なスーパーの約10倍という驚異的な数値を記録しているから驚きです。
経常利益率とは、企業の稼ぐ力を示す重要な指標ですが、タチヤは広告費を削り、商品をその日のうちに売り切ることで鮮度と利益を両立させています。「売り切れ=鮮度の証」という評価へ転換させた手腕は見事です。2019年11月下旬には旧店舗をタチヤへ改装するなど、この高効率なモデルをグループ全体へ波及させようとしています。
未来を支える国内最大級の「人づくり」拠点
バローHDの攻勢は、店舗戦略だけにとどまりません。2019年4月、岐阜県可児市に開設された人材開発センター「嫩葉(どんよう)舎」は、延べ床面積約6,000平方メートルを誇る国内最大級の研修施設です。ここでは、魚のさばき方からパンの焼き方まで、専門的な技術を次世代の社員へと徹底的に継承しています。
物流から販売、そして教育までをすべて「自前」で完結させるバローHDの姿勢には、単なる効率化ではない、小売業としての誇りと執念を感じます。スーパーの枠を超え、私たちのライフスタイルをどう変えてくれるのか。2019年末、バローHDが仕掛ける「流通革命」の幕は、まだ上がったばかりと言えるでしょう。
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