2019年12月08日、日本の大学入試制度が大きな転換点を迎えています。政府と与党は、2020年度からスタートする予定だった「大学入学共通テスト」における国語と数学の記述式問題について、導入を延期する方向で調整に入りました。
このニュースが流れるやいなや、SNS上では受験生や保護者から「振り回されすぎていて、もはや何を信じればいいのか分からない」「延期ではなく中止すべきだ」といった、切実かつ厳しい批判の声が次々と上がっています。
そもそも今回の改革は、受験生の思考力や表現力をより深く判定することを目的に掲げていました。しかし、約50万人という膨大な受験生の解答を短期間で正確に採点するため、その実務を民間事業者に委託する計画が大きな火種となったのです。
採点者には大学生のアルバイトも含まれる予定で、採点基準のバラつきや信頼性の欠如が懸念されてきました。文部科学省は国会審議において、この採点の質をいかにして担保するかという問いに対し、最後まで納得のいく回答を示せませんでした。
公平性を欠いた「二段階選抜」への介入と改革の破綻
特に物議を醸したのが、文部科学省が国立大学に対して行った異例の要請です。国語の記述式成績を、受験者を絞り込む「二段階選抜(足切り)」の基準に使わないよう求めた事実は、行政自らが採点の不完全さを認めたようなものでしょう。
二段階選抜とは、志願者が一定数を超えた際、共通テストの得点をもとに個別試験(二次試験)へ進める人を選抜する仕組みです。これに記述式の結果を使えないのであれば、試験そのものの存在意義が大きく揺らぐのは必然だと言えます。
すでに英語民間試験の導入見送りも決まっており、肝いりであったはずの入試改革は、まさに破綻の危機に直面しています。本来の構想は、一発勝負の入試から脱却し、各大学が独自の記述問題で学力を丁寧に測る形を目指していたはずです。
しかし現実は、大部分を1点刻みのマーク式で採点しながら、記述式だけを段階別評価にするという、極めて矛盾した構造になってしまいました。こうしたその場しのぎの対応では、教育現場にさらなる混迷を招くだけではないでしょうか。
私たちが真に求めるべきは、単なる延期ではなく、原点に立ち返った抜本的な見直しです。各大学が自らの教育方針に合わせ、個別の入試で受験生の個性を測る努力を続けることこそが、最も合理的で公平な道であると私は確信しています。
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