日本経済の「今」を映し出す鏡として、投資家やビジネスパーソンが固唾を飲んで見守る指標があります。2019年12月13日、日本銀行はいよいよ「12月の全国企業短期経済観測調査(短観)」を公表します。これは日銀が全国の約1万社に対し、景況感や投資の意欲を直接ヒアリングする非常に精度の高い調査です。
今回の発表において最大の焦点となるのは、米中貿易摩擦という世界的な荒波の中で、日本の「稼ぐ力」である製造業がどこまで踏ん張れるかという点でしょう。SNS上でも「製造業の景況感はどこまで冷え込むのか」「増税後の買い控えが深刻そうだ」といった不安の声が目立っており、市場には緊張感が漂っています。
製造業を襲う四重苦と注目のDI指数とは
ここで重要になるのが「業況判断指数(DI)」という専門用語です。これは「景気が良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた数値で、企業の心理状態をダイレクトに示します。2019年9月の調査では大企業製造業がプラス5でしたが、今回はさらに悪化し、4四半期連続のダウンとなる可能性が濃厚です。
もしこのDIがマイナスに転じれば、2013年3月以来の事態となります。米中対立による輸出停滞に加え、2019年10月に東日本を襲った台風19号による工場の操業停止も大きな打撃となりました。主力である自動車産業の苦戦が予想される一方で、IT関連の在庫調整が進む電気機械分野に一筋の光が見えるかが鍵となります。
消費増税のリアルな反動と非製造業の試練
一方で、これまで堅調だった非製造業(サービス業など)にも暗雲が垂れ込めています。2019年10月1日の消費増税以降、百貨店や家電量販店では駆け込み需要の反動による深刻な売り上げ減に直面しました。統計によれば、10月の小売販売額は前年比7.1%減と、前回の増税時を上回る落ち込みを記録しています。
こうした消費の冷え込みが、小売や飲食、宿泊業の景況感をどこまで押し下げるのかが懸念されます。日銀幹部も「3カ月後の先行き判断DI」を重視する姿勢を見せており、企業がこの不況を「一時的なもの」と捉えているか、あるいは「長期化する」と悲観しているかで、今後の金融政策の舵取りが大きく変わるでしょう。
日本経済の希望の光「設備投資」は維持されるか
不透明な状況が続くなか、唯一の希望とも言えるのが「設備投資」の力強さです。深刻な人手不足を背景とした自動化・省力化への投資や、自動車業界の「電動化・自動運転」といった次世代への投資は、景気の良し悪しに関わらず止めることができない必須の支出となっています。
2019年10月末時点の調査でも、企業の投資意欲は依然として高い水準を維持しています。個人的な見解としても、目先のDI悪化に一喜一憂するのではなく、この「未来への投資」が継続されているかを見極めるべきだと考えます。設備投資が崩れなければ、日本経済が致命的な不況に陥るリスクは低いと言えるからです。
2019年12月18日から開催される金融政策決定会合に向けて、今回の日銀短観は現状維持か追加緩和かを決める決定的な「審判」となります。世界経済の減速という外圧に、日本の内需がどこまで耐えうるのか。13日の発表は、2020年の日本経済を占う極めて重要なターニングポイントになるでしょう。
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