日本の産業ガス業界で確固たる地位を築いているエア・ウォーター株式会社が、ついに海外へと大きく舵を切りました。2019年12月19日、同社はベトナムにおいて家庭用LPガスの販売事業へ参入することを公表しています。これは同社にとって記念すべき初の海外LPガス事業展開となり、アジア市場でのプレゼンスを確立するための極めて重要な一歩といえるでしょう。
具体的な戦略として、エア・ウォーターはベトナムのエネルギー大手であるパシフィックペトロの子会社に対し、2019年12月27日付で約20億円の出資を行う予定です。この投資によって株式の51%を取得し、経営権を握ることで現地でのスピード感ある事業運営を目指します。経済成長が著しいベトナムを最初の拠点に選んだ点に、同社の鋭い先見性が光っています。
成長の余地が眠るベトナム市場と今後の展望
現在、ベトナムでは急速な経済発展が続いていますが、意外にもLPガスの普及率は5割程度に留まっています。LPガスとは、液化石油ガスの略称で、持ち運びが可能なボンベを通じてエネルギーを供給できるため、都市ガスの配管インフラが未整備な地域でも重宝される燃料です。インフラ整備が追いつかない現状は、同社にとって大きなビジネスチャンスとなります。
今回誕生する合弁会社は、ホーチミンを中心としたベトナム南部で約1割のシェアを誇る既存の販売網を継承します。2018年12月期には36億円の売上を記録していますが、エア・ウォーターのノウハウを注入することで、5年後にはその規模を2倍の78億円にまで拡大させる計画です。単なる卸売りだけでなく、将来的な需要拡大への期待がSNS上でも高まっています。
ネット上では「日本の高い安全管理技術が導入されるのは心強い」といった、日本ブランドへの信頼感を示す声が多く見受けられます。また、家庭用のみならず工場やマンションなど、より大規模な需要家への販路拡大も視野に入れているようです。ベトナムを起点として、カンボジアやラオスといった近隣諸国へ展開していくという壮大なロードマップにワクワクさせられます。
私は、この進出が日本の成熟したエネルギー技術を新興国へ還元する素晴らしいモデルケースになると確信しています。北海道で培われた寒冷地での供給ノウハウや効率的な配送システムは、ベトナムのエネルギー事情を劇的に改善するはずです。国内での260億円規模の売上実績を背景にしたこの挑戦は、同社の企業価値を新たなステージへと引き上げるでしょう。
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