2019年6月24日に開催されたシンポジウム「高齢化と金融包摂」にて、現役のITエヴァンジェリストとして活躍されている若宮正子氏が登壇され、超高齢化社会が抱える課題解決の鍵として、高齢者へのIT教育と、それを通じた自立・社会参加の促進を熱く提言されました。医療費や介護費が増大し、働き手が減少していく状況において、情報技術(IT)を活用した高齢者の再教育を充実させ、より働きやすい環境を整備することは、社会全体の持続可能性を高めるために不可欠な要素と言えるでしょう。
若宮氏は、高齢者が情報技術に対する知識や技能、すなわちITリテラシーを身につけることこそが、自立し、多様な社会参加を実現するための重要な一歩になると強調されています。実際に、若宮氏ご自身が60歳の時に初めてパソコンを購入し、お母様の介護をされていた時期にも高齢者向けの交流サイトを通じて多くの情報や素晴らしい友人を得たという経験は、高齢者にとってITがいかに生活を豊かにするツールであるかを雄弁に物語っています。このような実体験に基づいたご意見は、聴衆の心を強く打つものがあったに違いありません。
現在84歳(記事制作時)である若宮氏は、ご自身の体験を通じて、最先端の技術が高齢者の生活の質を向上させる具体例を示されました。例えば、加齢によって視力や聴力、記憶力が低下しても、骨の振動によって音を伝える骨伝導マイクやスピーカーを活用すれば、騒がしい環境に左右されずに電話での会話を楽しむことができます。また、スマートフォンやパソコン、スマートスピーカーで同期できるカレンダーアプリを使えば、自宅にいる時も外出先でも、手軽にスケジュール管理が行えるようになります。これらの技術は、高齢者の生活における小さな不便を大きく解消する力を持っているのです。
若宮氏の活動や発言は、SNS上でも「高齢者がITを使うことへの偏見がなくなる」「若宮さんのような方が増えることが必要」といった肯定的な反響を多く集めており、そのメッセージが広く社会に浸透していることがうかがえます。しかしながら、高齢者向けの優れた技術は数多く存在していても、その情報が十分に知られていないのが現状です。そのため、それらの利用可能な技術を広く周知徹底することに加え、機器自体の使いやすさの向上や、誰もが手に入れやすいよう費用を低減することも重要となってきます。
さらに、高齢者がITを活用する上で最もつまずきやすい初期設定の部分を手厚く支援することも、IT活用の普及には欠かせません。私は、高齢者がITリテラシーを身につけ、社会で活躍できる環境が整うことが、経済的な自立を促し、結果として医療や介護の負担軽減にもつながる「真の金融包摂」の実現に寄与すると確信しています。若宮氏の活動は、高齢化社会を悲観的に捉えるのではなく、ITの力でより豊かで活動的な社会へと変革できるという希望を与えてくれる、非常に価値のある提言と言えるでしょう。
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