組織の最小単位はいつの時代も「人」であり、一人ひとりがオーナーシップを持って知恵を絞るチームこそが最強です。しかし、2019年12月26日現在の日本企業が抱える課題は深刻だと、早稲田大学大学院の川本裕子教授は指摘します。国際調査でも日本人の仕事に対する満足度は極めて低く、その大きな障壁となっているのが「粘土層」と呼ばれる保守的な中間管理職の存在です。
SNSでは「粘土層という表現が的を射すぎていて痛い」「自分の会社もまさにこれだ」といった共感の声が相次いでいます。粘土層とは、経営層の意図を遮断し、変化を嫌う層を指すビジネス用語です。既得権益を守ろうとする彼らの価値観をアップデートし、社内のイノベーションやダイバーシティを形骸化させないことこそが、令和の組織づくりにおいて最も重要な鍵となるでしょう。
激動の時代に求められる「4つのリーダーシップ条件」
個人の能力を最大限に引き出すリーダーには、共通する4つの資質があるといいます。1つ目は、先見性と洞察力を兼ね備えた「ビジョン」の提示です。2つ目は、いかなる危機に直面しても動じない「平常心」と素早い判断力になります。3つ目は、周囲の心を掴む「共感力」です。そして最後は、ビジネスの根幹を支える「インテグリティー(高潔さ)」だと川本教授は定義します。
特に「インテグリティー」は、組織の倫理性や社会的責任を問う上で欠かせない概念です。単なる利益追求ではなく、自社の存在意義や働く目的を問い続ける姿勢が、メンバーの信頼を勝ち取る原動力になります。ガバナンス(統治)で人を縛るのではなく、エンパワー(権限委譲や支援)によって自発性を促すリーダーの下でこそ、現代の停滞を打破する強固な組織が育まれるのではないでしょうか。
ラグビーW杯の熱狂から学ぶ、真のダイバーシティ
2019年に日本中を沸かせたラグビーワールドカップ日本代表は、多国籍なメンバーが一致団結するダイバーシティの理想形を示しました。一方、企業の現状はどうでしょうか。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた今、川本教授は「一般市民の意識変革に企業が取り残されるのではないか」と危惧しています。障害や国籍の壁を越えた感動が広がる中、企業も古い価値観を脱ぎ捨てるべき時です。
リーダーの真価は、目先の業績だけで測れるものではありません。最高益を出しながらも組織文化を破壊してしまう人もいれば、苦境の中で将来の種を蒔く人もいます。最終的な評価は後世の歴史に委ねられるという視点を持ち、一人ひとりが輝ける職場をどう構築するか。その問いに真摯に向き合うことこそが、予測不能な五輪後の景気変動を生き抜くための、最大の武器になるに違いありません。
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