【徹底解説】フェイスブックの暗号資産「リブラ」が揺るがす通貨の常識!ビットコインの弱点を克服した驚異の仕組みとは?

2019年6月に米フェイスブック社が暗号資産「リブラ」の発行計画を発表してから約半年。世界各国の当局が示している拒絶反応とも言える厳しい姿勢は、皮肉にもリブラの設計がいかに巧みで、既存の金融システムを脅かす「完成度」を誇っているかの裏返しでもあります。

SNS上では「送金がスマホで完結するのは便利」という期待の声がある一方で、「国家の通貨主権はどうなるのか」という不安も渦巻いています。この記事では、2019年12月26日現在の状況に基づき、麗沢大学の中島真志教授の視点からリブラの本質を解き明かします。

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ビットコインの教訓を活かした「負けない設計」

リブラがこれまでの暗号資産と一線を画すのは、先行したビットコインの失敗を徹底的に研究している点です。ビットコインは中央の管理者がいない「分散型」の理念を掲げた結果、運営方針の対立を解決できず、システムが分裂するなどの不安定さを露呈してきました。

これに対し、リブラは「リブラ協会」という明確な管理主体を置くことで、迅速かつ安定した意思決定を可能にしています。また、価格が激しく上下するビットコインは投機対象になりがちですが、リブラは実用的な「支払い手段」としての地位を最優先に設計されています。

さらに、取引の承認方法も合理的です。「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」という、膨大な計算能力と電力を消費して取引を承認するビットコインの仕組みを避け、リブラは信頼されたメンバーのみが承認する方式を採用しました。これにより、10分も待たされることなく迅速な決済が可能になります。

中央銀行の知恵を「完コピ」した安定性の秘密

リブラの安定性を支えているのは、伝統的な中央銀行のビジネスモデルです。まず注目すべきは、発行額と同額の資産を保有する「100%裏付け」という仕組みでしょう。これは、香港ドルが米ドルによって価値を保証されている「カレンシーボード制」に酷似しています。

また、リブラは円やドルなど複数の通貨を組み合わせた「バスケット通貨制」を採用しています。これはシンガポールドルが用いている手法を参考に、特定の1通貨の変動に左右されず、全体の価値を一定に保つための工夫です。ちなみに、日本円も14%分組み込まれる予定となっています。

さらに驚くべきは、中央銀行の特権である「シニョレッジ(通貨発行益)」まで取り入れている点です。これは、無利子の通貨を発行する一方で、裏付けとなる資産を国債などで運用し、その利子を収益とする仕組みです。27億人のユーザーが使えば、その利益は天文学的数字になるでしょう。

待ち受ける「通貨の壁」と不透明な未来

あまりに完璧な設計ゆえに、各国政府は「銀行免許の取得」や「国際的な共同監督」といった厳しい条件を突きつけています。2019年10月に設立されたリブラ協会からは、既にビザやマスターカードといった主要メンバーが離脱するなど、逆風が強まっているのが現状です。

マーク・ザッカーバーグCEOも、米議会で「当局の承認なしには発行しない」と明言せざるを得ませんでした。当初の予定だった2020年前半の稼働開始は極めて困難な情勢と言えます。技術的な完成度が、皮肉にも政治的なハードルを最大化させてしまった格好です。

個人的な見解としては、国家の枠を超えた「グローバル通貨」の構想は、利便性の面で不可避な流れだと感じます。しかし、民間企業が通貨発行益を独占するモデルは、公的なインフラとしては危うさを孕みます。真の革新が起きるまでには、まだいくつもの試練を越える必要があるでしょう。

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