2019年12月30日、日本のビジネス界に大きな衝撃が走りました。世界的なネット通販の巨人、アマゾン・ドット・コムの日本法人が、2018年12月期に約150億円もの法人税を日本で納めていたことが明らかになったのです。わずか4年前の納税額が約11億円程度だったことを考えると、その額は10倍以上に跳ね上がっており、いよいよ「巨大IT企業の適正納税」が現実味を帯びてきました。
これまでは、日本で巨額の利益を上げながらも、その収益を税率の低い国や米国本社に計上することで納税額を抑える手法が一般的でした。しかし、アマゾンは日本での契約主体を米本社から日本法人へと変更し、実態に即した収益を国内で計上する仕組みへと転換しました。この動きに対しSNSでは「ようやく相応の負担をするようになったか」「便利に使っているからこそ、日本に還元してほしい」といった、安堵と期待が入り混じった声が数多く寄せられています。
「法人税」とデジタル経済の歪みとは?
ここで少し専門的なお話をすると、法人税とは企業の利益(所得)に対して課される税金のことです。従来、国際的なルールでは「工場や支店などの物理的な拠点がない国では課税できない」という原則がありました。インターネットを介してサービスを提供するIT大手は、この仕組みを賢く利用し、世界中で利益を上げつつも納税額を最小化する「節税」を行ってきたのです。
しかし、こうした手法は「税逃れ」であるとして、国際社会から厳しい批判にさらされてきました。2019年3月期における日本の上場企業の税負担率が平均28%であるのに対し、米IT大手はわずか10%台に留まっていたというデータもあります。この不公平感を解消するため、現在OECD(経済協力開発機構)やG20といった国際会議では、拠点の有無に関わらず利益を上げた国で課税する「デジタル課税」のルール作りが急ピッチで進められています。
グーグルやフェイスブックも追随!変わるIT業界の姿勢
アマゾンだけではありません。検索大手のグーグルも、2019年4月から日本国内の広告事業に関する契約を日本法人で行う形式に切り替えました。これまではシンガポール法人を経由していましたが、今後は日本国内での納税額が大幅に増える見通しです。また、フェイスブックもアイルランド法人への一括計上を見直し、各国で適切に支払う方針を検討中であるとされています。
編集者の視点から言えば、この変化は単なる「ルール遵守」以上の意味を持っていると感じます。企業が社会的な信頼を勝ち取るためには、サービスの内容だけでなく、その利益をいかに地域社会へ還元しているかという「誠実さ」が問われる時代になったのです。過度な節税はブランドイメージを損なうリスクとなり、むしろ自ら進んで納税姿勢をアピールすることが、長期的なビジネス戦略として賢明であるという判断に至ったのでしょう。
2019年9月には、アマゾンが英国での納税額を自主的に公表するなど、透明性を高める動きも加速しています。世界が注目する新たな課税ルールが2020年に向けて整備される中、巨大IT企業と国家の「税を巡る攻防」は、共生に向けた新しいフェーズへと突入しています。私たちの生活に欠かせないプラットフォームが、真の意味で日本の社会基盤を支える存在へと進化していくことを切に願っています。
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