地方の鉄道網を維持するための革新的な挑戦が始まっています。JR九州は現在、在来線に向けた自動列車運転装置の走行試験を展開しており、大きな注目を集めている状況です。このシステムは制限速度を遵守しながら、列車の加速や減速、さらには駅での停車までを自動で行うという優れた独自技術を搭載しています。同社は2020年2月中旬まで試験を継続し、そのデータをもとに2020年中の実証運転への移行を計画しているとのことです。
このプロジェクトが目指す究極のゴールは、国家資格を持つ運転士が乗務しない「ドライバーレス運転」の実現にあります。昨今の人口減少に伴い、将来的な運転士不足が深刻に懸念されている鉄道業界において、この取り組みはまさに救世主と言えるでしょう。試験の舞台となっているのは福岡県内を走るJR香椎線の西戸崎駅から香椎駅の区間であり、2両編成の蓄電池電車を使用して、終電後の時間帯に安全性を徹底確認しながら慎重に進められています。
2019年12月28日には報道陣向けに試験の様子が公開され、そのスムーズな動きが話題を呼びました。運転士が運転台にある2つのボタンを同時に押し込むだけで、列車は滑らかに加速を開始します。その後は駅に近づくと自動的にスピードを落とし、ホームの定位置へ見事に停車しました。この様子が報じられると、SNS上では「未来の鉄道が形になりつつある」「ローカル線の維持には不可欠な技術だから応援したい」といった期待の声が数多く上がっています。
コストを抑える画期的な独自システムと今後の展望
今回のシステムにおける最大の強みは、既存のインフラを巧みに活用している点にあります。一般的に列車を自動で制御するシステムは「ATO(自動列車運転装置)」と呼ばれ、主に都市部の地下鉄などで導入されてきました。今回は、衝突を防ぐために赤信号の手前などで自動的にブレーキをかける従来の安全装置である「ATS(自動列車停止装置)」のデータをベースにして、ATOが最適な運転パターンを算出する仕組みを構築しています。
地上側の設備投資を最小限に抑えるこの工夫により、経営環境が厳しいローカル線であっても導入するハードルが格段に下がると予想されます。JR九州の青柳俊彦社長は、実証運転の開始から2年、あるいは3年以内には実際の営業運転へ漕ぎ着けたいという強い意欲を示されました。少子高齢化が進む地域交通を守るため、民間の知恵と先進技術を融合させた今回の挑戦は、日本の鉄道ビジネスにおける重要な転換点になるに違いありません。
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