デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを成功させるための本質は、単なるツールの導入ではありません。その真髄は、データから得られる深い洞察(インサイト)を意思決定の軸にする「インサイトドリブン経営」の実現にあります。2019年11月25日現在、多くの企業がこの変革に挑んでいますが、具体的にどう組織を動かすべきか頭を抱える経営層は少なくないでしょう。
データ活用を全社的な文化として根付かせるためには、まず「CoE(センター・オブ・エクセレンス)」と呼ばれる専門組織を立ち上げることが有効です。これは、特定の分野で卓越した知見を持つ人材を一つの部署に集約し、組織横断的に改革を牽引する「精鋭部隊」を指します。SNSでは「各部署にバラバラに専門家を置くより、まずは一箇所に集めてパワーを集中させるべきだ」という現実的なアプローチに賛同の声が集まっています。
DX推進に不可欠な「三位一体」の専門スキル
改革を力強く推し進めるには、3つの異なる能力が欠かせません。具体的には、事業課題を見極める「ビジネス力」、統計学などを用いて分析する「データサイエンス力」、そしてデータを扱う基盤を構築する「データエンジニアリング力」です。これらすべてを一人の人間が兼ね備えるのは至難の業であり、採用市場でも争奪戦が繰り広げられています。
そこで現実的な戦略となるのが、社内外から適材を配置する混成チームの結成です。ビジネスに明るい人材は現業部門から、高度な分析スキルを持つ専門家は外部から、ITインフラに強い人材は社内のIT部門から集めるのです。私は、この「社内事情に明るいベテラン」と「外部の新しい知」を融合させるプロセスこそが、形骸化したDXを打破する唯一の道だと確信しています。
外部人材を逃さない環境作りと現場への浸透
優秀な外部人材を確保しても、すぐに離職されては意味がありません。ここで重要になるのが、彼らのモチベーションを理解し、適切な処遇や環境を整える「リテンション(引き留め)」の視点です。CoEのリーダーには、データ活用の意義を深く理解しつつ、社内人脈を駆使して現場と専門家の架け橋になれる、共感力の高い人物を据えるべきでしょう。
最終的なゴールは、データ活用を一部の専門家の仕事に留めず、全社員が当たり前に行う状態にすることです。CoEのメンバーが現場に赴き、実際の業務上の悩みをデータで一緒に解決する「共創」のプロセスが不可欠です。成功体験を共有することで、現場にデータ活用の手応えを実感させる泥臭い努力こそが、組織を根本から変えるのです。
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