世の中の景気や消費の動きが目まぐるしく変わる中、自分の趣味には惜しみなくお金を投じる熱いファンが増えています。そんなファンを魅了し続ける玩具業界のトップランナーが、バンダイナムコホールディングス傘下のバンダイです。同社の川口勝社長は、おもちゃの業界が増税や不況の影響を受けにくい強みを持っていると分析されています。子どもの未来へのプレゼントは削らないという温かい親心が、市場を支える大きな原動力になっているのでしょう。
実際にSNS上でも「子どもの笑顔のためならお財布の紐が緩む」といった共感の声が多く見られます。一方で、2019年11月頃には業界全体の元気が少し落ち込んだ時期もあり、消費税率が引き上げられたことによる影響を慎重に見極めたいという声も上がっていました。それでもバンダイの業績が力強い足取りを維持している背景には、時代に合わせた柔軟なマーケティング戦略がしっかりと実を結んでいるからに他なりません。
大人の心を離さない!ハイターゲット向け戦略の秘密
バンダイの絶好調を牽引しているのが、人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルをはじめとする大人向けの玩具です。同社ではこれらの高年齢層向けの商品を「ハイターゲット商品」と呼んでいます。成長とともに玩具を卒業してしまう子どもたちとは異なり、大人のファンは長く愛着を持って商品をコレクションしてくれるのが大きな特徴です。2018年にはこの層に向けた専門の事業を分社化し、より鋭い視点でのアプローチを開始されました。
ネット通販などを通じてファンの好みを細かく分析し、会員組織ではお買い物の量に応じたマイレージ制度も導入されています。イベントに一般の方より1日早く入場できるといった特別な優待サービスは、ファンの満足度を大いに高めているようです。SNSでも「限定サービスが嬉しくてつい集めてしまう」とファンが歓喜する様子が目立ちます。こうした大人目線に寄り添った施策が、中国をはじめとする海外市場での大きな成功にも繋がっているのでしょう。
未来への「植林事業」!250億円をかけた新しいキャラクター開発
現在のヒット作に甘んじることなく、バンダイは「IP」と呼ばれるキャラクターなどの知的財産の新規開発にも全力を注いでいます。IPとは「Intellectual Property」の略で、アニメの登場人物や世界観といった独自のブランド価値を指す専門用語です。川口社長はこれを「植林事業」と表現されており、次世代のキャラクターを育て続けなければ企業の未来は成り立たないという強い危機感と、並々ならぬ情熱を持って取り組まれています。
2020年度までの中期経営計画では、新しいキャラクターを生み出すためにグループ全体で約250億円という巨額の投資を行う方針を打ち出されています。エンターテインメントの世界では、新しい挑戦がすべて成功するわけではありません。しかし同社には、失敗から学びを得て再び這い上がれる「敗者復活」の社風が根付いています。大きな失敗を経験しながらもトップに就任された川口社長の存在そのものが、社員の皆様への力強いエールとなっているのです。
2020年は日本発のエンタメが世界を震撼させる面白い年に
2020年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催によって世界中から日本へ熱い視線が注がれる絶好の機会となります。バンダイはこの好機を活かし、日本の魅力的なキャラクターを海外へ強力に発信するライセンスビジネスの拡大を狙っています。さらに、40周年を迎えたガンプラの記念企画として、横浜市で実物大のガンダムを実際に動かすという夢のような大規模イベントも準備されており、ファンの期待感は最高潮に達しています。
編集部といたしましては、伝統を守りながらも数々の失敗を恐れずに莫大な投資を続けるバンダイの姿勢に、日本のものづくりの真髄を感じずにはいられません。市場をあっと驚かせるような子ども向けのメガヒット作がまだ生まれていないという課題に対しても、臆することなく挑戦を続ける姿勢は非常に刺激的です。世界を舞台にした同社の熱い挑戦が、これから私たちの生活にどのようなワクワクを届けてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。
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