2019年に最大の上場を果たした米ウーバーテクノロジーズの勢いが止まりません。創業からわずか10年で時価総額は7兆円規模に達しました。これは、日本の伝統的な自動車メーカーであるホンダの時価総額約5兆円を大きく上回る驚異的な数字です。歴史ある大企業が築き上げた価値を、新興のIT企業があっさりと追い抜いていく様子は、まさに産業の構造そのものが「自動車の製造」から「移動のサービス化」へとシフトしている象徴と言えるでしょう。
なぜウーバーはこれほど高く評価されるのでしょうか。現時点での売上高や利益だけを見れば、ホンダの方が圧倒的に優位に立っています。ウーバーは現段階では赤字経営が続いていますが、将来への期待値が時価総額を押し上げているのです。その強みは、工場などの固定資産や在庫を一切持たないビジネスモデルにあります。自前で生産設備を抱える製造業とは異なり、仲介に特化して手数料を得る仕組みが、驚異的な粗利益率を生み出しています。
こうした共有型経済が成長する背景には、当事者間だけでは解決できないトラブルを防ぐ「運営会社」という第三者の存在があります。見知らぬ人同士が関わるサービスでは、常に何らかのリスクがつきまとうものです。ここで重要になるのが、損害をカバーする保険機能や、トラブルの発生率を統計的に処理して保証に回すシステムです。第三者が介在して信頼を担保することで、私たちは初めて安心してサービスを利用できるようになります。
最近では日本でもお馴染みの「ウーバーイーツ」など、空き時間と労力を共有するフードデリバリーが盛んです。さらに、配達に特化した「ゴーストキッチン」と呼ばれるシェア型の厨房も注目を集めています。これは店舗の立地に縛られず、効率よく収益を回復させる画期的な仕組みです。一方で、中国の自転車シェアのように、利用者の倫理欠如によって維持費が膨らみ、破綻した事例もあります。管理の仕組みがビジネスの成否を分けるのです。
シェアビジネスの根底にあるのは、資源の無駄をなくすという精神です。これは日本人が古くから大切にしてきた「もったいない」の心や「おおもてなし」の文化と、非常に高い親和性を持っていると私は確信しています。もちろん、見知らぬ他者との交流に対して慎重な文化的な壁は存在します。しかし、まもなく開催される2020年東京五輪・パラリンピックの混雑対策としても、こうしたサービスは救世主になり得るはずです。
これから社会の主役となっていく新しい世代は、従来の固定観念に縛られず、他者とモノを共有することに対して非常にオープンな感覚を持っています。法人向けでも印刷機やトラックの空きスペースを共有する動きが広がっており、市場の可能性は無限大です。信頼を担保する運営の仕組みさえ整えば、日本のシェアリングエコノミーはこれからさらに劇的な成長を遂げるに違いありません。今後の進化から目が離せませんね。
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