アメリカのネバダ州ラスベガスにおいて2020年01月08日、配車サービス大手のウーバーテクノロジーズが、カリフォルニア州内での驚きのサービス変更を発表しました。これまで定着していた料金の前払い制度を一部で取りやめ、実際の走行距離や経過時間に応じて最終的な運賃を確定する仕組みへと舵を切ります。
この突然とも言える変更の背景には、2020年01月01日に施行されたばかりの新しい州法が深く関わっています。インターネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」と呼ばれる柔軟な働き手たちを守るための規制が、いよいよ巨大企業のサービス運営に具体的な影響を及ぼし始めました。
今回の見直しは、複数人で車をシェアする相乗りサービスを除いた通常の配車が対象となります。これまではアプリで申し込んだ時点で支払額が確定し、降車後に利用者が任意でチップを足すスタイルが主流でした。しかし今後は、乗車前には大まかな見積もり額だけを提示し、到着時に正確な料金を算出する方式へと切り替わります。
SNS上では、この発表を受けて「事前にいくらかかるか分からないのは不便になりそう」「実質的な値上げに繋がるのではないか」といった利用者の不安の声が目立ちます。その一方で、サービスを支えるドライバー側からは「働いた分だけ適正に稼げるようになるなら歓迎したい」という期待の書き込みも見られます。
波紋を広げている「AB5」という新法は、単発で働く人々を原則として企業の「従業員」とみなすよう義務付ける画期的な法律です。もし従業員となれば、会社側は社会保険料の負担や最低賃金の保証などをしなければなりません。これまで人件費を抑えることで急成長を遂げてきた企業にとっては、ビジネスモデルを揺るがす死活問題なのです。
しかし、ウーバー側は自社のドライバーについて、新法下でも依然として独立した個人事業主であると強く主張しています。あえて前払い制をなくして報酬の透明性を高め、ドライバー自身が仕事を選びやすくすることで、「彼らは雇われているわけではない」という証拠作りに動いたと推測できるでしょう。
こうした企業の防衛策は、私たち利用者の利便性にも影を落としそうです。同社は案内の中で、特定のルートを一定額で利用できるお得なポイント特典の廃止を示唆しています。さらに、料金の変動によって「ドライバーから乗車を拒否されるケースが増えるかもしれない」とも予測しており、サービスの使い勝手が変化していくことは避けられません。
利便性と労働者保護のバランスをどう取るべきか、私たちは大きな転換期に立ち会っています。単に安くて便利なサービスを追い求めるだけでなく、それを支える人々の労働環境にも目を向ける時が来ているのではないでしょうか。企業の社会的責任と消費者のメリットが共存できる未来の仕組みづくりを期待します。
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