2020年を迎え、日本の政治は大きな歴史的転換点へのカウントダウンを始めています。安倍晋三首相の在任日数はすでに明治・大正期の桂太郎氏を抜き、通算で歴代トップへと躍り出ました。さらに、2020年8月24日には第2次政権発足からの連続在任日数が2799日に達する見込みです。これにより、大叔父である佐藤栄作氏の記録を塗り替え、名実ともに「歴史上最も長く続いた政権」の座に就くことになります。
インターネット上では、この驚異的な長期政権に対して多くの声が寄せられています。SNSでは「これだけ長く政権が安定しているのは外交面でも強み」という評価がある一方で、「そろそろ新しいリーダーによる変化が見たい」「長期化によるマンネリ感が否めない」といった厳しい意見も交わされ、議論が白熱している状況です。国民の関心は、この最長政権がこれから一体どのような未来の足跡、すなわち政治的な「レガシー(遺産や功績)」を残せるかという一点に集まっています。
過去の長期政権が遺した偉大な業績と「引き際」の難しさ
振り返れば、かつての長期政権には必ずと言っていいほど、その時代を象徴する偉大な国家プロジェクトが存在しました。佐藤内閣における沖縄返還、中曽根康弘内閣が進めた国鉄民営化、そして小泉純一郎内閣の郵政民営化などが代表例です。時の首相たちは、誰もが困難と認める巨大な課題に挑む姿を見せることで、求心力と呼ばれる「周囲を惹きつけ、政権を維持する力」を保ち続けてきました。
しかし、目標を達成した後の政権運営には、常に遠心力という「政権から心が離れていく力」が働くリスクが潜んでいます。例えばサンフランシスコ平和条約を発効させた吉田茂政権は、その後に激しい権力闘争や汚職事件に巻き込まれ、体力を失っていきました。佐藤氏も悲願の沖縄返還を見届けた後は、自らが望んだ形での後継者へのバトンタッチが叶わないまま表舞台を去っており、長期政権の幕引きの難しさを物語っています。
安倍首相が掲げる「4つの宿題」と2020年の展望
自民党総裁としての任期を2021年9月まで、衆院議員の任期を同年10月までに控える安倍首相は、明確な優先順位を設けて課題に挑む姿勢を崩していません。具体的には、デフレと呼ばれる「物価が下がり続けて経済が停滞する現象」からの脱却、少子高齢化への挑戦、戦後外交の総決算、そして悲願である憲法改正の4つを掲げています。私は、これらすべてを任期内に成し遂げるのは時間的に容易ではないと考えています。
だからこそ、首相がどの課題にリソースを集中させ、どのタイミングで「衆院解散」という伝家の宝刀を抜くのかが極めて重要です。かつて中曽根氏が衆参同日選挙で大勝し、自らの任期を延長させたように、解散戦略は政権の命運を左右します。党内で囁かれる「総裁4選論」の行方も含め、2020年1月6日の年頭記者会見で語られる言葉が、今後の日本を占う重要な道標になることは間違いありません。
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