日銀の「隠れた出口戦略」か?2019年のETF・REIT買い入れ大幅減が示唆する市場の未来

日本銀行が、いわゆる「異次元緩和」の柱として継続してきた金融資産の買い入れペースを、ここにきて密かに緩めています。2020年1月1日現在の集計によると、2019年における上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の購入実績は、当初掲げていた目標値を3割から4割も下回る結果となりました。

具体的な数字を紐解くと、ETFの年間購入額は4兆3772億円に留まり、目標である約6兆円に対して2割以上の開きが出ています。さらにREITに至っては、528億円という低水準な着地となりました。これは年間900億円という増額目標の半分程度に過ぎず、日銀が市場への介入を慎重にコントロールしている様子が伺えます。

こうした購入額の減少は、皮肉にも好調な相場環境がもたらしたものです。2019年は日経平均株価も東証REIT指数も、ともに20%程度の上昇を記録しました。日銀がわざわざ下支えをしなくても、市場自らが力強く上昇を続けたことが、買い入れを控える最大の要因となったのでしょう。

SNS上では、この消極的な姿勢を「実質的なテーパリング(量的緩和の縮小)ではないか」と鋭く指摘する声が上がっています。投資家の間では、日銀という巨大な買い手がいなくなることへの不安よりも、市場の歪みが解消されることへの期待感の方が、徐々に上回っている印象を受けます。

スポンサーリンク

市場機能の回復と日銀の副作用対策

日銀は以前から、機械的な資産購入がもたらす「副作用」を警戒していました。中央銀行が株を買い支え続けると、投資家が企業の業績を厳しく精査する「目利き」の機能が失われてしまいます。これは企業の経営監視が甘くなる、いわゆるコーポレートガバナンスの形骸化を招くリスクを孕んでいます。

また、日銀自身の懐事情も深刻な懸念材料です。もし株価が急落すれば、日銀が保有する膨大な資産に含み損が発生し、その財務基盤を揺るがしかねません。こうした事態を避けるため、2018年7月には「市場状況に応じて買い入れ額を変動させる」という弾力的な方針を密かに打ち出していました。

私個人の見解としては、今回の大幅な購入減は非常に賢明な判断であると感じます。中央銀行が市場の「クジラ」として君臨し続けることは、自由経済の健全性を損なう劇薬に他なりません。相場が良好な今のうちに、市場の自律性を重んじる姿勢を示すことは、将来的な混乱を防ぐための重要な一歩となるはずです。

2020年を迎え、日銀がどのように「異次元」からのソフトランディングを目指すのか、世界中の投資家がその一挙手一投足に注目しています。官製相場からの脱却は容易ではありませんが、今回の購入減は、日本経済がより自立したステージへと進むための試金石となるのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました