東京・札幌間が4時間半に!JR北海道と佐川急便が挑む「貨物新幹線」の衝撃と青函トンネル高速化への未来

北海道と本州を結ぶ大動脈に、今まさに革新の風が吹こうとしています。JR北海道が、物流大手の佐川急便とタッグを組み、2020年中にも「貨物新幹線」の実証実験を開始することが明らかになりました。このプロジェクトの舞台となるのは、津軽海峡の底を貫く青函トンネルです。東京と札幌の間を4時間半という驚異的な早さで結ぶための、極めて重要な第一歩がいよいよ踏み出されます。2031年度の経営自立を掲げるJR北海道にとって、今回の試みはまさに社運を賭けた反転攻勢の始まりと言えるでしょう。

注目の実験は、北海道新幹線の新函館北斗駅から新青森駅の間で実施される予定です。運ぶ荷物の選定はこれからですが、函館近郊で水揚げされたばかりの新鮮なイカや魚介類などが有力候補に挙がっています。多少のコストを支払ってでも、圧倒的なスピードで鮮度を保ったまま届けたいという市場のニーズは、非常に高いと推測されます。一方で、急ぎの輸送を必要としないジャガイモやタマネギなどは対象外とされており、顧客の心理と採算性を冷静に見極めた実にスマートな事業設計だと感心させられます。

なぜ貨物新幹線が、旅客新幹線のスピードアップにつながるのでしょうか。その鍵は「共用走行問題」にあります。現在、青函トンネル内では新幹線と在来線の貨物列車が同じ線路を共有しています。通常の貨物列車と新幹線が高速ですれ違うと、凄まじい風圧によって貨物コンテナが変形したり、荷崩れを起こしたりする危険性があるのです。そのため、JR北海道は新幹線の最高速度を時速160キロメートルに制限せざるを得ないという、もどかしい状況が続いていました。

約10年後に控える新幹線の札幌延伸時に、ライバルである航空便に対抗するためには、東京・札幌間を4時間半以内で結ぶことが絶対条件とされています。現在の東京・新函館北斗間が約4時間ですから、その先にある札幌までスムーズに駆け抜けるためには、青函トンネル内の減速問題の解決が不可欠なのです。ネット上でも「新幹線が本気を出せる環境を作ってほしい」「札幌まで4時間半なら、ビジネスでも観光でも確実に選択肢に入る」と、高速化を熱望する多くの声が寄せられています。

もちろん、トンネル内の課題を解決するアプローチは、今回の貨物新幹線だけではありません。新幹線が全力で疾走する時間帯と、貨物列車が走る時間帯を完全に切り分ける「時間帯区分方式」や、貨物列車をフェリー輸送に切り替える「フェリー移管」という選択肢も議論されています。しかし、物流の維持と運行効率の双方を成立させるためには、単一の方法に頼るのではなく、多角的な視点からベストな組み合わせを模索していく柔軟な姿勢が、今まさに求められていると言えます。

JR北海道の島田修社長も語るように、この複雑な課題は鉄道会社単独の力だけで解決できるものではありません。目的地まで荷物を届けるラストワンマイルのネットワークを持つ、佐川急便のような強力なパートナーとの連携は不可欠です。実は両社には、すでに信頼の絆があります。19年4月からはタクシー会社も交え、過疎地での「貨客混載(乗客と荷物を同じ車両で一緒に運ぶ効率的な仕組み)」を成功させており、12月には国土交通大臣表彰を受けるなど、その手腕は折り紙付きです。

18年度のデータによると、北海道新幹線の営業赤字は95億円にのぼり、企業全体の赤字の2割強を占める厳しい現実があります。新幹線という巨大なインフラには多くの利害関係者が絡みますが、だからこそ30年度の札幌延伸を見据え、今から未来へのレールを敷いておく必要があります。この貨物新幹線という革新的な挑戦は、単なる物流の効率化に留まらず、北の大地の経済そのものを大きく活性化させる起爆剤になるはずです。一鉄道ファンとして、そしてメディアとして、その推移を熱く見守りたいと思います。

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