日本の医療費が危ない?後期高齢者医療制度の課題と自治体連携の現状を徹底解説

私たちの生活を支える社会保障制度が、今まさに大きな岐路に立たされています。2020年1月14日の日本経済新聞の調査により、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」の運営において、都道府県ごとの「広域連合」と各市区町村の連携が機能していない実態が明らかになりました。医療費を抑えるための司令塔が不在である現状に対し、SNSでは「人ごとではない」「将来の保険料が心配」といった、制度の先行きを不安視する声が次々と上がっています。

特に注目を集めているのが、地域ごとに生じている深刻な医療費の格差です。都道府県単位で1人あたりの費用が最も高額だった福岡県では、なんとすべての市町村で年間100万円を突破しました。高齢者の就業率の低さによる体力や精神面の低下が背景にあると分析されていますが、2002年度から16年連続で全国トップという不名誉な記録が続いています。さらに、北海道や東京都など4つの都道県内では、市区町村間で2倍以上もの格差が生じているのが現状です。

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医療費抑制への取り組みが進まない構造的な原因

国は医療費の増加を防ぐため、人工透析の要因となる「糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)」の重症化予防を推進しています。これは、高血糖によって腎臓のフィルター機能が低下する病気を防ぐための重要な対策です。しかし、広域連合から委託を受けて高齢者の自宅を個別指導する保健師のマンパワーが足りていません。2016年度にこの事業を開始した福岡県でも、2019年11月末時点で60市町村のうち、わずか15自治体しか委託を受けていないのです。

なぜ、これほどまでに対策が遅れてしまうのでしょうか。原因は、制度の土台となる複雑な組織構造にあります。もともと政府は市区町村を運営主体として想定していましたが、財政への悪影響を恐れた自治体側の反発により、中間的な組織である「広域連合」が急遽作られました。その結果、都道府県と市区町村の間で責任の所在が曖昧になり、75歳を境に医療政策の担当が変わるという、極めていびつな仕組みが誕生してしまったのです。

財政規律の緩みと地域主導の理想に向けた専門家の視点

さらに問題を根深くしているのが、自治体側のモチベーションの低さです。保険料は都道府県で一律のため、市区町村が努力して医療費を下げても直接的なメリットがありません。仮に制度が赤字になっても、会社員が加入する健康保険組合の支援金や国の税金で補填されるため、コスト意識が育ちにくい環境となっています。お互いに「相手の管轄だから」と責任を押し付け合う空気が漂っており、財政の健全化に向けた緊張感が欠如していると言わざるを得ません。

私は、この危機的な状況を打開するためには、各地域の医療費を徹底的に「見える化」することが不可欠だと考えます。現在の広域連合は自治体の寄り合い所帯になっており、格差の分析すら行っていない組織も少なくありません。誰もが安心して医療を受けられる未来を守るためには、甘えの構造を断ち切り、データに基づいた効果的な対策を地域主導で進めるべきです。制度の持続可能性を高める具体的な改革が、今まさに求められています。

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