私たちの生活を劇的に変える次世代通信規格「5G」の本格的な普及に向け、半導体業界では今、水面下で熱い技術革新が進んでいます。化学大手の住友化学株式会社は、半導体を製造する工程で不可欠となる「高純度アルミナ」において、驚異的な細かさを誇る超微粒の新品種を開発いたしました。この革新的な素材は、これからのエレクトロニクス社会の基盤を支える重要な鍵を握っていると言っても過言ではありません。
高純度アルミナとは、酸化アルミニウムの純度を極限まで高めたセラミックス材料のことで、優れた強度や耐熱性を備えているのが特徴です。ネット上では「日本の素材技術の強みが発揮されている」「5Gや半導体の進化には、こうした地味でも尖った材料が不可欠だ」といった期待の声が多数寄せられています。住友化学は、10億円を超える巨額の投資を行い、愛媛県新居浜市にある愛媛工場へ最先端の量産設備を導入することを決定いたしました。
同社が開発した画期的なアルミナ製品は、酸化アルミニウムの純度が99.99%に達し、粒子の直径がわずか0.1マイクロメートルという極小サイズを実現しています。マイクロメートルとは100万分の1メートルを表す単位であり、従来の主流であった6マイクロメートル以下という基準を大幅に塗り替える、同社史上最小の粒度となりました。すでに国内の大手セラミックスメーカーへのサンプル出荷が始まっており、2021年初頭の商用化を目指して準備が進められています。
この超微粒子を製造するために、住友化学は「アルコキシド法」という独自の高度な技術を採用しました。これはアルミニウムとアルコールを化合させ、加水分解や焼成を経て製造する手法です。量産には向いているものの粒度の制御が極めて難しいとされるこの方法において、同社は加水分解の速度を緻密にコントロールすることで、均一な超微粒化に見事成功いたしました。日本の製造業が誇る、高い職人技のような精密な技術力が光る素晴らしい成果です。
5G向け半導体の製造においては、ウエハーと呼ばれる回路の土台が非常に強いプラズマや強力な薬液にさらされるため、ウエハーを運ぶ搬送用部品にもこれまで以上のタフさが求められます。今回の超微粒子アルミナをセラミックスに使用すると、内部の粒子同士の隙間が非常に狭くなり、全体の強度が劇的に向上するのです。これにより、薬品が内部に侵入するのを防ぎ、摩耗や腐食をシャットアウトする強固な部材が完成します。
さらに同社は、半導体基板の表面を平らに仕上げるための研磨剤としての用途展開も視野に入れています。現在主流となっている酸化ケイ素などに比べて、加工時間を大幅に短縮できる可能性を秘めており、製造現場の効率化にも大きく貢献するでしょう。素材の特性を最大限に活かして次の市場を貪欲に開拓していく姿勢は、激しいグローバル競争を勝ち抜くために極めて正しい戦略であると確信いたします。
調査会社のデータによれば、5G関連の基地局市場だけでも2023年には4兆1880億円規模に達すると予測されており、半導体需要の波は確実に見込まれています。住友化学は、この5G普及の波を確実に捉えることで、アルミナを含むエネルギー・機能材料部門の売上高を、2021年度には2019年度比で4割増となる3900億円まで引き上げる計画を掲げています。世界をリードする日本の化学技術が、これからの5G社会をどのように形作っていくのか、今後の展開から目が離せません。
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