2019年6月10日、中国政府が独自開発したハイテク分野の技術輸出に制限をかける新たな制度の導入を検討していることが明らかになりました。これは、激しさを増す米国との貿易戦争、特に「ハイテク摩擦」において、米国側を強く牽制する狙いがあるものと見られています。中国共産党の機関紙である人民日報などは、政府が近く「国家技術安全管理リスト」と呼ばれる枠組みを設置する方針だと報じています。
この動きは、中国がすでに電気自動車(EV)の製造などに不可欠なレアアース(希土類)の新たな輸出管理システムを検討し始めた直後に浮上しました。レアアースとは、電子機器や磁石などに使われる、現代のハイテク産業に欠かせない希少な金属群のことで、中国が世界的な生産の大部分を占めているため、「戦略物資」とも呼ばれます。この非常に重要な資源の管理強化に続き、さらに独自技術の輸出そのものも管理対象にするという点で、中国の決意のほどが伺えるでしょう。
新制度の具体的な内容はまだ公表されていませんが、世界で高い競争力を持つ国内の技術を特定し、その研究開発を国としてさらに支援するとともに、国外への輸出を管理・制限する目的があるとされています。特に、国を挙げて力を入れている航空宇宙分野などの重要な技術がこのリストに加えられる可能性が高いと考えられます。
中国国営の新華社通信は、この新制度が「特定の国が中国の技術を利用し、逆に中国の発展を妨げる事態を防ぐ」ためのものだと解説しています。また、人民日報は「重要技術の発展を加速し、強力な**『ファイアウオール』を構築する」と説明しています。「ファイアウオール」とは、本来、コンピューターネットワークにおいて外部からの不正なアクセスを防ぐ防御壁を意味する専門用語ですが、ここでは中国の重要技術や産業を守る強固な防壁を比喩的に表現していると言えるでしょう。
しかし同時に、人民日報は「中国の門戸が閉じられ、(他国との)協力の歩みが緩むわけではない」とも強調しており、国際的な技術協力を完全に拒絶するわけではないという姿勢も見せています。現在、トランプ米政権は次世代通信規格である5Gの分野で世界最大手である中国の華為技術(ファーウェイ)の排除を狙うなど、米中間の摩擦は一向に軟化の兆しが見えません。このような状況下で、この「国家技術安全管理リスト」の導入検討は、米国に対する「技術的抑止力」を高め、交渉のテーブルで優位に立つための中国の切り札**となり得るでしょう。
SNSでの反響と今後の展望
この中国の動きに対して、SNS上では即座に大きな反響が寄せられています。特に「技術の管理強化は当然の流れ」といった意見や、「ついに中国が本気で対抗手段を取り始めた」と、この決定を評価する声が多く見られます。一方で、「技術の囲い込みは長期的には世界経済全体に悪影響を及ぼすのではないか」といった、グローバルな視点での懸念を示すコメントも見受けられました。
私自身の見解としては、中国がこうした「技術の牙城」を築くことは、短期的な米中対立の激化を招くかもしれませんが、長期的に見れば、技術覇権を巡る競争の新たなステージに入ったことを示しています。このリストが実際にどのように運用されるか、そしてそれが世界のハイテク産業やサプライチェーンにどのような影響を与えるのか、私たちは注意深く見守る必要があるでしょう。この新制度は、今後の世界経済の潮流を決定づける、重要な要素の一つになることは間違いありません。
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