化粧品大手の資生堂が、オフィス環境を大胆に変革させていることをご存じでしょうか。2019年に実施された拠点の移転集約を機に、同社はこれまでの常識を覆す「おしゃれな働き方改革」を推進しています。SNS上でも「こんなに素敵な職場で働いてみたい」「クリエイティブな発想が生まれそう」といった羨望の声が数多く上がっており、その新しい試みに大きな注目が集まっているのです。
2019年5月、資生堂は東京・浜松町に国内事業を統括する資生堂ジャパンの拠点を新設し、都内5カ所に分散していたオフィスを1つにまとめました。マーケティングや営業といった異なる部署を物理的に近づけることで、垣根を越えた活発な議論や、時代の変化に負けないスピーディーな意思決定を促す狙いがあります。流行の移り変わりが激しい現代において、この一体感は大きな強みになるでしょう。
そのオフィスの目玉と言えるのが、通称「ブランド部屋」と呼ばれるユニークな会議室です。「マキアージュ」や「プリオール」、「マジョリカマジョルカ」といった人気ブランドの世界観を部屋全体で表現しています。一角には商品が美しく並べられ、雑多な書類やサンプル品はソファの中に隠すという徹底ぶりです。常にブランドのコンセプトを肌で感じながら議論できるため、より深いアイデアが生まれる仕掛けになっています。
場所ではなく「中身」で選ぶ働き方と異色の研究拠点
さらに資生堂は、オランダ発祥の先進的なワークスタイルである「ABW」を導入しました。これは「アクティビティ・ベースド・ワーキング」の略称で、単に席を固定しないフリーアドレスとは異なります。その日の仕事内容(会議や資料作成など)に合わせて、最も効率の上がる場所を自ら選んで働くという最先端の考え方です。営業と商品企画の担当者が自然に雑談を交わす中で、世中を驚かせる新商品のヒントが掴めるのではないでしょうか。
オフィスに留まらず、2019年4月に横浜市で稼働を開始した研究開発拠点「グローバルイノベーションセンター」も開放的な空間へ生まれ変わりました。これまでの閉鎖的な研究所のイメージを覆すガラス張りの施設です。1階の「ビューティーバー」では、研究員が一般のお客さまの肌を分析してオリジナルの化粧水を作るなど、これまで少なかった「消費者の生の声」に直接触れて刺激を受ける仕組みが整っています。
他企業の研究員なども自由に訪れるこの拠点には、すでに4万人を超える人々が足を運んでおり、革新的なサービスを生み出す一大プラットフォームとなっています。かつてのようにメーカーが流行を一方的に仕掛ける時代は終わり、多様化する顧客のニーズに寄り添う姿勢が求められています。こうした資生堂の柔軟でクリエイティブなオフィス環境づくりこそが、これからの美のトレンドを牽引していくに違いありません。
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